恩人の話。

以前書いた、“人生の恩人”の友達ですが。

今回は、彼女の、最近の挑戦について書いてみたいと思います。

彼女は、娘さんの事情で、仕事を辞め、家も引き払い、久しぶりに上京しました。いつもスーパーポジティブな人なのに、彼女の状態や口調から、さすがにちょっと参ってるのが伝わってきます。

再就職がなかなか難しい年齢だからと、とにかく年齢不問の仕事を始めた彼女でした。

1軒目のコールセンター。

ハローワークの案件であった上、面接の時点で採用になったと聞いて、若干気になってはいたのですが、予感は的中しました。

販売している物もグレーだったみたいですが、従業員の扱いが、完全にブラックだったようで。軍隊みたいで、徹底的に人格否定され、マインドコントロールが凄かった、とその詳細を聞いているうちに、寒気がした私でした。

20代の男性上司から、毎日、重箱の隅をつつくように、細かい点を激しく非難され、しごかれたそうです。彼女はその恫喝に怖気づかず言い返し、最終日には、その彼を皆の前で泣かせ、朝礼を暫く中断させたと言うので、やっぱりスゴイと舌を巻いたのでした。

そして、続いて2軒目のコールセンター。

貴金属買取りのアポ取りと聞いて、最近聞くようになった、"押し買い"じゃないよね?と気になって聞きましたが、きちんとアポを取って行くから大丈夫、という彼女に、若干不安が残った私でした。

結果、2日で辞めたと電話がかかってきて、溢れそうな想いを聞きました。認知症の老人から、貴金属を法外に安い値段で買い叩く商売だった、家にいきなり訪ねるのがアウトになったから、アポ取りは隠れ蓑だったと。自分達が何をやっているか、理解した上でその仕事を続けている人達の顔は、醜悪だったと、耐えられなかった様子でした。

「向こうが言い値で買ってるんだから。納得してるんだからいいのよ!」と、上層部から抜かれた後に、自分の懐に入るお金を算段する顔が、恐ろしかった、と。次の仕事もないのに辞めてバカだと言われても、私はそんな詐欺に加担したくない、と早速次の仕事を探す彼女に、拍手を送った私でした。

やっぱり仕事というのは、どんな形にせよ、人の役に立ったり喜ばれるものでなくては、と思います。そんな形でお金を儲けても、本当に豊かな気持ちでは生きられないと信じています。

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