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S君

精神病院にS君という人がいた。

彼は自分の事を「かしら」と自称し

皆にもそう呼ばせていた。

口癖は「世界ってあるよね?」

という意味不明な言葉だった。

彼は木をチェーンソーで切る仕事を

していたと

言っていた

記憶がある。

彼はその仕事で

片方の手の親指を落としてしまっていた。

彼はナースが自分の悪口を言っていると思いきや

すぐにキレ出した。

彼は可愛いところもあるのだが

お金や物には汚かった。

急にモノを人にあげては

お返しがないと

怒ってナースにチクっていた。

病院内では物のやり取りは

禁止されているので

こいつは何言ってるんだ?

と思っていた。

彼は色黒で背が小さく細身だ。

アロハシャツを好んできていた。

〜組がどうのこうのと言っていたので

もしかしたらヤクザの

関係者かも知れなかった。

ジャンケンが好きでE君といつもジャンケンしていた。

アダルトチルドレンなんだろうか?

なにせ僕と彼は何となく衝突する事が多かった。

価値観がだいぶ違っていた。

僕には「これ」と信じるものが有ったが

彼には恩義のある人が全てだった。

彼はクリスチャンだった。

彼は色んな宗教を経験した果てに

クリスチャンの道を選んだのだ。

でも彼の人生には大した影響は

無かったようにも見受けられた。

僕は最近何を信じて生きていけば良いか

悩んでいる。

社会にはその答えがあるのだろうか?

#創作大賞2024
#エッセイ部門


ぺん太郎

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