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【スターバックの本棚】Thinking, Fast and Slow(和訳:ファスト&スロー[上]あなたの意思はどのように決まるか? )

『Thinking, Fast and Slow』
(和訳:ファスト&スローあなたの意思はどのように決まるか? )
Daniel Kahneman ダニエル・カーネマン(著)

育児休暇はユーちゃんの世話で大忙しだが、かといってフルタイムで働いていた時と比べればだいぶ時間に余裕がある。その余剰時間の一部を読書に充てている。片手でミルクをあげながら読むこともできる。これほど読書に時間を割けたのはいつ以来だろう。

そんなわけで、最近読んだ本がこれだ。だいぶ前に斜め読みしたことがあったので、再読という方が正確か。
本書はノーベル経済学賞を受賞した心理学者カーネマンが、人の心はいかに不合理に動くかを鋭く解き明かす本である。
我々が意図的に行なっていると思っている判断の多くは、実は脳が意識下で自動的に行なっている。そしてそれは往々にして間違う。そして意識せずとも論理的ではない行動を起こす。

たとえば、大学生の被験者に老いのことを想像させると歩行が無意識のうちに遅くなる(つまり老人のように振る舞う)そうだ。
また、無理やりでも笑顔を作ると本当に楽しい気分になる。プライミング効果というらしい。
また、第3部では専門家の未来予想(たとえば株価、為替相場、政治、戦争など)はランダムな当てずっぽうと大差ないのに、なぜ専門家は自分が未来を予見できる能力に過剰な自信を持つのかについて説明している。
本書を読んだ後に巷に溢れる「専門家」たちの自信満々のに溢れた発言を聞くと、ついニンマリしてしまう。

小野雅裕
技術者・作家。NASAジェット推進研究所で火星ローバーの自律化などの研究開発を行う。作家としても活動。宇宙探査の過去・現在・未来を壮大なスケールで描いた『宇宙に命はあるのか』は5万部のベストセラーに。2014年には自身の留学体験を綴った『宇宙を目指して海を渡る』を出版。
ロサンゼルス在住。阪神ファン。ミーちゃんのパパ。好物はたくあんだったが、塩分を控えるために現在節制中。

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