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キャラバン グランドキング GK85という選択、そして大台ケ原へ

次は、大台ケ原へトレッキングをしに行こう。

僕とグランドキング・GK85との出会いは、この思い付きからだった。

「登山靴」

「登山靴=山へ行くときにはく、足首まである靴」

これが僕の抱く登山靴の概念。

「高野山石町道」、「熊野古道 小辺路 伯母子岳(おぼこだけ)」、「宮之浦岳」、「サルファー山」などなど、自分が山へ行くときに、はいていた靴。ナイキだったり、コロンビアだったり、一応山用の靴ではあったはずだ。
が、自分が履いていた歴代の靴は登山靴ではなかった。

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「熊野古道 小辺路 伯母子岳(おぼこだけ)」登山道  撮影機材 D810 AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G

「僕の靴」と「登山靴」との違い。

僕の歴代の靴たちのソールは柔らかい。飴のように、柔らかい。そして、軽い。これがいいと思っていた。山に登るにはこの軽さと柔らかさが最適だと。
若さに任せ、ふんわり軽い靴で山を飛ぶように登り、温泉につかり、飯をガツガツ食らい、そして疲れて寝ていた。

「これは登山靴のような靴で、登山靴ではありません」
僕のはいていた靴と同じようなもちもちソールをグニャグニャ曲げながら、Youtubeで登山靴店の店長がそう形容していた。
「テントを担いで、高山帯を歩くのなら硬いシャンクのある革靴。これが登山靴です」
大好きな安曇野にある、登山靴店店長がそういうのだから間違いない。
’登山靴=硬いソール’ 単純な僕の思考は、2021年9月にそうリセットされた。

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「熊野古道 小辺路 伯母子岳の夕日」D810 AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G

槍ヶ岳

新田次郎さんの「孤高の人」を読んで以来、槍ヶ岳にあこがれている。
もう30年以上、いつかは登りたいと、淡く思い続けている。

が、この20年、休日は子供と過ごすことに優先していたので、そんな思いからは遠ざかっていた。登山よりも、子供と遊ぶ方が楽しかった。
だが月日はたち、長女は大学受験。休日はいつも遊んでくれていた次女も中学生になり、クラブ活動が忙しく休日にパパの相手をしてくれなくなってきたので、趣味に時間を費やせるようになってきた。
そして2019年にDEROSA IDOLEを購入して以来、ロードバイクにはまりきっている。

「乗鞍は最高だ!」 ロードバイク乗りなら一度は聞く言葉。
しまなみ海道も行ったし、次は乗鞍だ。そう意を決し、2021年9月に梓川沿いの波田リバーパークキャンプ場にテントを張り、ロードバイクで自転車で登れる最高地点「乗鞍岳」を登った。
ティンバーラインを超え、大雪渓、岩稜帯、やはり山はいい。
乗鞍攻略後は、安曇野、白馬を巡るロードバイクでの旅。
八ヶ岳、そして槍ヶ岳への熱い思いがよみがえる。

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乗鞍岳ヒルクライム。ゴール地点。

大台ケ原ヒルクライム

乗鞍ヒルクラムの次は、大台ケ原ヒルクライムに挑戦した。
大台ケ原ヒルクライムは、ほとんど修行。
月曜に登ったので、人影は皆無。
道路の真ん中で蛇がとぐろを巻いて威嚇してくるし、激坂延々続くし、熊に注意の張り紙があちこちあってホンマに熊でそうな空気感漂っているし、なんかひどい匂いのする区間ではクマに襲われた鹿でも死んでるのかクマが鹿を食らっているんじゃないかと妄想ふくらみビクビクしなあかんし、思考に熊が張り付いて登りながら熊から逃げる方法ばかり考え始め、「曲がり角の先に熊いたらどうしよ、なんやこの激坂はどこまで続く、熊は60㎞で走るからこんな疲れた体では逃げられん、なんやこれ、なんやこれ」と、ボヤキまくり。

熊の妄想と戦い続けたヒルクライム達成後、大台ケ原ビジターセンターへ足を踏み入れた時に、すれ違うハイカーたちの充実感にあふれた、禊を終えたような顔、顔、顔。
熊からの怯えからすっかり解放され、「みなさんめっちゃ、いい顔してるやん。俺も次はトレッキングやな。」ここに来る前に上北山村公式のプロモーション映像をみていた影響もあり、そう心に決めたのだった。
GK85購入への道筋がこうして整った。

体重と登山靴の謎

日帰り登山が主だが、1年に数度はテントも担ぐ(つもり...)。
3年以内には「南アルプス」5年後には「剣岳」(に行けたらいいな)。
そんな少し自信のない使用目的で登山靴を選ぼうと思った。

いろいろな登山系の動画をみて、日帰りのトレッキングと、1泊のバックパッキングで靴を履き替えようという選択も考えたが、僕なりの考えでその選択は捨てた。

それは、登山靴を選択するときの一つの要素は「荷物の重さ」だ、ということからだ。

僕は182cm 体重77㎏のがっしり体系。靴にかかる体重は、そもそも75kgオーバー。これって、体重60kgの人が、テント泊の荷物を担いでいる重さやんけ! てことは、荷物が軽い日帰り登山でも、バックパッキング用のソールが硬い靴がいいんじゃないの? との疑問が。
「登山靴 体重考慮」など、いろいろな言葉で検索をかけるものの、このことを明確に答えているサイトにはたどり着けない。

うーん、わからん。

もひとつ、日帰り登山でも僕の趣味で重い荷物が。
それはカメラ。
Nikon D810とNIKKOR 24-120mm f/4Gが僕の装備。重い三脚を担ぐこともしばしば。

体重問題。フルサイズカメラ。
以上2点のことで、日帰り登山用の靴は選択肢から外した。


LOWA TAHOE PRO そして登山靴選びの沼へ

僕を登山靴への世界に導いた、登山靴店店長の勧める「LOWA TAHOE PRO」は予算の問題と、今の僕には本格的すぎるようで見送った。
ただ、「槍ヶ岳を登るときは、この店長の店でタホ買おうかな。」
この気持ちが芽生えたので、バックパッキングにも耐えられるが、ガチ登山靴ではなく、そこそこ軽くて少し柔らかめの歩きやすい、そう、めっちゃ中途半端な登山靴探しの沼が始まってしまった。

最初に好きになったのが「グランドキングGK85」。
ブラウンとブラックのツートンカラー。皮。
「これにしよう!」とデザインと素材だけでいったんは決めた。
ただ、大台ケ原や日帰り登山にはオーバースペックなようで、登山靴の経験がなく、重く硬い靴を履く意味が分からない僕は、軽い登山靴の方にも気持ちが傾き

悩む悩む。

ローカットも歩きやすくていいなんて意見も耳にし、ワークマンの「アクティブハイクシューズ」(税込1,900円)は年間販売50万足の人気製品です。なんて記事を読むと、「槍ヶ岳に行くまでは、もうこれでいっか」と、ワークマンに立ち寄ってみたり。。。

プロの意見を聞いて、足を通して買うことを目的に、近所のスポーツ量販店巡りをしたが、僕の生活圏内の店では今まではいていた「登山靴のような靴」しか置いてなく、しかもプロっぽい人とも巡り合えず。
モンベルは新卒で就職しようと面接に行って偶然たまたまその場にいた辰野勇さんを目の前で見たくらい好きだが、何となく(本当に何となく)モンベルの靴は却下。(面接のときは、いつも遊びに行ってて普段はいない社長がなぜかいる。と社員の方が驚いていたのが印象に残っています。)
登山店のある大阪駅まで出向くのもおっくうで、ネットで物色を続けるうちに、選択基準が定まってきた。

基準

・1泊登山に耐えられるハイカットの登山靴
・予算 20,000円~25,000円
・蒸れない靴
・軽めの靴
・できれば革を使用

3種類に絞ったぞ

外国資本のアマゾンより、楽天で買おうと思うのだが、アマゾンの「Prime Try Before You Buy」というサービスに軍配が上がる。
アマゾンの「Prime Try Before You Buy」では、6種類の商品を7日間試着でき、選んだ商品だけを購入できる。しかし、上限金額が10万円だったので、結局4足に絞らざるを得なかった。。。

①「マムート  デュカン ハイ ゴアテックス」
 サイズと色違いで2足注文

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発注したときはこの靴を買うつもりでいた。なので、サイズと色違いで2足頼んでいた。

この靴を選んだのに、一番参考にした記事。
https://www.yamakei-online.com/yk/issue/mammut2019/
この記事の最後に、以下の2文がある。
「普通の登山靴を履いていたら、今すぐに脱ぎたくなるだろう。でも、足にストレスを掛けないデュカンHIGH GTXなら登山後も、こうして至福の時を過ごせることが幸せなのだと。」

足の蒸れ
蒸れの問題は僕にとって深刻だ。
山登りだけではなく、普段から足の蒸れに悩まされている。
仕事場に靴を2足置いて、朝、昼と靴を履き替えて対策をしているほどの足蒸れ体質だ。なもんで、登山後に靴を脱がずに済むほど快適だという上記の記事で、マムートを買おうと決めていた。

履いてみて、僕なりの良かった点
・足を入れたときに、3種類の靴の中で一番感動した。「モノタン」という、タンと本体が一体化しており、ホールド感が優しい。心地よく履きやすい。
・つま先のソールは柔らかくよく曲がるが、かかとのあたりは硬くねじれない。が、家の階段をつま先で上り下りしたとき、柔らかさは懸念材料にもなってしまった。登山靴店店長の「登山靴のような靴」と、ソールをグニャグニャと曲げる映像が頭に残っているからだった。
・軽く、歩き心地がいい。浪人の時に、NIKEのAIRを始めてはいた時の感動がよみがえった。
・つま先、甲、足首回り、横幅など、違和感全くなし。僕の足にジャストフィット。
・マムートというブランド。
・「フレクストロンテクノロジー」がいいらしい。いいらしいというのは、耳学問なので。家の中で歩く程度なので実感はあまりできなかったが、このテクノロジーが起因しての歩き心地の良さなのかな。

履いてみて、僕なりの却下理由
・デザイン。
写真で見るのと違って、実物はなんか「のっぺり」。
空気抵抗よさそうなほど、のっぺり。
ステルス性能ありそうなほど、のっぺり。
色味も好みではなかったので、履いていて楽しくなかった。

フィット感、歩き心地に文句はなかったので、デザインと色が僕の好みであれば、買っていたと思う。

「THE NORTH FACE ヴェルト S3K フューチャーライト」

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履いてみて、僕なりの良かった点
・デザイン。色も、形もかっこいい。

・THE NORTH FACEへの信頼・・・これは履く前の話だが、靴選びをしている期間に、「MERU」という映画を見た。


この映画、人生を考えさせられる。残りわずか100mでの撤退。撤退を決めたときのコンラッド・アンカーの表情が一番印象に残っている。
そして帰国後、襲い掛かる不幸。そして3年後の再挑戦と成功! そんな彼らの現場に、THE NORTH FACEのロゴがちらちら。
企業案件なのか、THE NORTH FACEのロゴがサブリミナル。
ただ、THE NORTH FACEを使用して難攻不落の山頂に到達したのは事実だ。また、あのエクストリームな状況下でテントが壊れる話は人命にもかかわり、ブランドの信頼を失墜させるエピソードなのだが正直に映像化。かえって道具のリアリティが増し、もう、たまらなくノースフェイスの道具が欲しくなった。

・シャンクの硬さ。つま先で家の階段を上り下りしたが、僕の体重をよく支えてくれ、すいすい上れた。
やっと耳学問ではなく、シャンクの硬い靴が必要なわけを体験できた。
そしてこの経験が、後にGK85を選択する理由の一つになる。

・「国際山岳ガイドたちの要望に応えて開発を行っている、縦走向け3シーズン用の軽量防水トレッキングシューズ。」という、キャッチフレーズ。国際山岳ガイドの要望なら死角はなさそう。

・「FUTURELIGHT」という独自開発の新素材。最先端のテクノロジーは、快適性を担保してくれるので好きだ。

・デザインがいいので、街中で、普段履きもできそう。

履いてみて、僕なりの却下理由
・履いた時、親指の付け根に圧迫感が。マムートと比べてタイト。
しかし、1時間足を通してみたら靴がなじんだのか、足にフィットしだす。タイトさが、ジャストフィット感に変わる。
ただ、山登りの最中でどうなっているのかは未知数。
甲が細いおかげで細身のシルエットでかっこいいのだが、最初に感じた親指付け根の圧迫感が最後まで気になった。足を通した最初だけだったのだが。。。
・人工皮革。
安っぽい。
ここが革であれば、買っていたかも。
しかしながら、マムートも皮を使用していて色が茶系だったら、マムートを選ぶと思う。

キャラバン グランドキング GK85

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登山靴を調べ始めたとき、最初に気にいった靴なのだが、今の使用用途にはオーバースペックのようで、発注する時は購入する気はなかった。
それでもアマゾンの「Prime Try Before You Buy」で注文したのは、数年後、槍ヶ岳登山用の靴を購入する時のために実物を見ておきたかったのと、GK85とマムートの違いを確認しておきたかったからだった。

が、結局購入したのはGK85。

履いてみて、僕なりの購入理由

・実物を手にしたとき、気分が高揚した。
 皮の質感、デザイン、匂い、重さ、すべてが気に入った。
 所有欲を満たしてくれた。

・足を入れたときは甲に痛みを感じたが、すぐに足になじんだ。
 タンの折り返し部分に悪い織り癖がついていたからだった。皮を伸ばすようにタンを引き、折り目をちゃんとつけて履きなおして、1時間たったら足になじみ痛みは消えた。

・家の階段をつま先で上り下りしたとき、3足の中では一番軽く上れた。足がぶれない。わざとバランスを崩した姿勢で登っても、苦ではない。足が地面に固定されている感じ。倒れる気がしない。3足の中では一番靴のサポートを感じた。

・重さを感じさせなかった。足になじんでいるからだろう。

購入後。慣らし履き。

ショッピングモールに行き、登山用の靴下を求め1時間ほど歩き回った。
ショッピングモールの床でも歩きやすかった。いつも街中ではいているミドルカットのコロンビアのスニーカーよりも歩きやすい。足の蒸れも感じない。
モンベルでWIC.トレッキングソックスを購入

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このソックスと、GK85の組み合わせは最高です。蒸れない。

いざ、大台ケ原へ!

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車での移動中は快晴。駐車場に着くころには、急変。雲がもくもくと。
前日にも雨が降っていたのか、道がところどころウエット。
大台ケ原は、日本でも1、2を争う降水量の多い地域。
その理由は、以下に書かれている。

http://kinki.env.go.jp/nature/odaigahara/about/nature/kikou.html

雨の多い時期(2021年10月)の平日なので人影はまばらだった。
東大台ケ原をトレッキングしたのだが、登山道が整備され、歩きやすい。すれ違う人の中には、スニーカーのおじさんもいた。
東大台ケ原の登山道は道の保護のために石畳の道が多く、この日は雨上がりなのかウェットだったので、ツルっといかないか心配でもある。かえって、グリップのいい靴であればスニーカーの方が歩きやすいのかもしれない。

どこまでも歩いて行ける、最高の相棒。

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楽しかった。
4時間のトレッキング。モンベルの靴下との組み合わせで、蒸れない。
雨上がりの石畳も、滑らない。
どこまでも歩いていきたい。
来週も、大台ケ原に行くぞ!

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