今回も将棋とは関係ない上に、とてもくだらない話なってしまうので、あらかじめご了承頂きたい。

私は『蟹』という食べ物があまり好きではない。別に嫌いというわけでも、苦手というわけでも、甲殻類アレルギーがあるとかでもない。
ただ単純に『コスパが悪い』ように感じるからである。

あの耳かきの棒みたいなやつで必死にかけ集めても、一瞬で消えるような量の身しか採取できず、その労力に見合うような美味であるとは到底思えない。カニ味の何かも特に好きではないし、嫌いというほどでもない。しかし、世の中には蟹好きが多いようなので、あまり声に出さないようにしている。

それはどうでもよくて、ここからが本題。
私は中学生時代から好きなアーティストがいる。誰もが一度は聞いたことあるであろうビッグネーム『L'Arc〜en〜Ciel』である。

高校時代に同じ趣味の友人がおり、
よく一緒にコピーバンドをしてみたり、
カラオケでラルク縛りをしてみたり、
時には東京ドームツアーに2日連続で
行ってみたり、ライブ会場の設営スタッフの
バイトをしてみたりしていた。

その彼がある時、深刻そうな顔で私に話しかけてきた。何事かと身構えていると、ラルクのある曲のフレーズが別の単語に聴こえてしまう病を患ってしまったという報告だった。
その曲名は『DIVE TO BLUE』
割と有名なシングル曲である。

2番の歌い始めにこんな歌詞がある。

何が正しいなんて
答えはないさ
枝分かれした道
神のみぞ知る

察しの良い人ならもうお分かりだろう。
そう、『蟹の味噌汁』だ。
空耳アワーではないが、言われてみれば
確かに聞こえる。その日を境に、
私もその伝染病を患ってしまったのだ。

悩み事を他人に打ち明けると晴れる事もある。
だがしかし、彼の顔はまだ険しかった。
実はもう一曲、別の単語に聴こえてしまう曲が
あるのだという。
私は恐る恐るその曲名を尋ねてみた。
意外な回答が返ってきた。ラルクの中でトップクラスの知名度を誇る『HONEY』であった。

「いやいや、3万回は聴いたけど、
そんな空耳する要素なんてないでしょ？」
私は彼に強く反論してみた。

「いいからサビを聴いてみて」
彼は自信あり気にそう答えた。

かわいた風をからませ
あなたを連れてくのさ
Honey so sweet
限りない夢を
その両手につかんで

どこが何に聴こえる？
私には全くわからなかった。
彼はニヤリとしながらそっと口を開いた。

『Honey so sweet』が
『かに雑炊』に聴こえる。

どんだけ『蟹』が好きなんだよ。