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No.117 2024年1月2日3日 第100回箱根駅伝で青山学院大学が優勝 原晋監督の「負けてたまるか!大作戦」

 2024年の箱根駅伝は100回目を迎えました。1920年に始まった箱根駅伝ですが、第二次世界大戦の影響で1942年・1944年・1945年・1946年の4回は中止になっています。それで2024年が第100回の記念大会になったのです。1954年には本大会出場校が15校になり発展していったとされます(現在は20校の出場です。今年は記念大会で23校の出場でした)。エッセーNo.48で2023年の箱根駅伝について書きましたが、個人的には箱根駅伝との繋がりが結構あると思っています。箱根駅伝がスタートした1920年は亡くなった父と母が生まれた年で、本大会出場校が15校になった1954年は私が生まれた年です。私が卒業・修了した大学や大学院が青山学院大学、立教大学で現在教育研究をしている箇所の1つが早稲田大学です。第100回の記念大会はどのような結果だったのかスポーツ紙を通して見ていきます。その後で原監督の采配や能登半島地震で被害に合われた方々への配慮について書いていきます。

 2023年の後半には100回大会を記念してポケットティッシュも配られていました

「サンケイスポーツ」2024年1月4日より
「スポーツ報知」2024年1月4日より
「日刊スポーツ」2024年1月4日より
「スポーツニッポン」2024年1月4日より

 青山学院大学が大方の予想を覆し往路の3区でトップに立ち、そのまま独走で優勝する結果になりました。私も期待はしていましたが、駒澤大学に勝つことは難しいのではと考えていました。駒澤大学は学生三大駅伝(出雲・全日本・箱根)を一昨年から勝ち続け、今季も箱根を勝てば史上初めて三大駅伝を2季連続で勝利するのではという「絶対王者」の貫禄があったのです。
 この駒澤大学に対して青山学院大学の原晋監督が今回のスローガンに挙げたのが「負けてたまるか!大作戦」でした。青山学院大学が箱根駅伝で優勝した時のスローガンを振り返ってみましょう。

 2015年「ワクワク大作戦」
 2016年「ハッピー大作戦」
 2017年「サンキュー大作戦」
 2018年「ハーモニー大作戦」
 2020年「やっぱり大作戦」
 2022年「パワフル大作戦」
 2024年「負けてたまるか!大作戦」

 私にはよく理解できない作戦名もありますが、今回の「負けてたまるか!大作戦」は「絶対王者」「史上最強軍団」と言われていた駒澤大学に対して最もヒットした作戦名ではないかと考えました。「同じ大学生が戦っている。そう簡単に後ろに回るわけにはいかない」という意図のようでした。この「負けてたまるか!大作戦」は今年古希を迎える私のスローガンにしていきます。70歳以降の人生もこのスローガンで乗り越えていくつもりです。 
 2015年に初めて優勝してから10年で7回優勝していること、2年連続で優勝できなかったことがないことなど原晋監督の手法には驚かされます。
 さらに能登半島地震の被災者に対する配慮も感じられました。往路優勝の第一声が「能登震災で開催できるかどうかわからない中、多くの被災にあわれた方がいる中で箱根駅伝できること、本当に感謝申し上げたい。」
でした。さらに優勝会見の第一声が「1月1日、能登震災において本来であればお正月は家族団らんで、おせちやお雑煮を食べながら2、3日箱根駅伝をご覧いただける方、数多くいらっしゃったんだと思う。しかし、あのような災害の中で今でも苦しまれている方がいらっしゃる。そんな中での箱根駅伝、開催させていただいたことに対して、まずもってお礼を申し上げたい。ありがとうございました。」でした。

 大学生として駅伝で活躍する青山学院大学ですが、学生時代や卒業後にオリンピックや世界陸上などの国際的な競技会で活躍する選手がいないのではという疑問がありました。そのような疑問に答えてくれる文章がありました。
 「プレジデントオンライン」の「『箱根駅伝で勝てればそれでいいのか』10年間で6度の総合優勝・青学大は五輪・世界選手権代表0人の衝撃」というスポーツライター酒井正人氏の文章でした(執筆時は6度の優勝の時点でしょう)。その中で酒井氏は「世間からは名将と呼ばれる原晋監督だが、『世界で戦う』という意味ではまだ不足しているものがあるようだ。青学大に対してはSNS上では、高い評価がある一方で『箱根駅伝で勝てばそれで満足なのか?』といった厳しい声もある。」「個人的には『箱根から世界へ』を実現している大学はもっと評価されるべきだと感じている。第100回大会を走る選手から、多くの選手が世界に羽ばたくことを期待したい。」と書かれています。
プレジデントオンライン
「『箱根駅伝で勝てればそれでいいのか』10年間で6度の総合優勝・青学大は五輪・世界選手権代表0人の衝撃」
https://president.jp/articles/-/77228
 
これに対してスポーツライターの武田薫氏は「日刊ゲンダイデジタル」で「青山学院大はなぜ強い? 第100回箱根駅伝で完全Vしかも圧勝のウラ側」というタイトルで次のように書いています。「駒大、東洋大、早大、中大などは優秀なタレントを海外遠征させ、秋の記録会に出して世界の舞台に備える。原監督はとりあえず『世界』を棚に上げ、ロードのハーフに徹する。箱根ブランドにこだわり、ただ、選手の自主性を掲げ、将来に生かせる選択肢は残しておく。」原晋監督の「箱根ブランド」にこだわっての考えを紹介しています。さらに「箱根駅伝の考案者、熊本生まれの金栗四三はハーフマラソンなど知らなかった。京都三条から上野までの日本初の駅伝「東京奠都50年記念駅伝競走」の区間に倣ったのだ。その奠都駅伝は、明治天皇の京都からの御東幸、1日=5~7里(約20~28キロ)に合わせただけ。原監督が正しいかどうかはともかく、100年前にハーフマラソンという概念も言葉もなかった。この距離こそ箱根駅伝の基本だ──原監督は箱根とは無縁の関西育ち。伝統をばっさり変えられるのは、得てしてよそ者なのである。」原晋監督が伝統を変えることへの期待も述べられています。「箱根ブランド」にこだわる原晋監督がどのような選手を育成していくのかこれからも見ていきたいです。
日刊ゲンダイデジタル
「青山学院大はなぜ強い? 第100回箱根駅伝で完全Vしかも圧勝のウラ側」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/334296
 
 高校のスポーツで最も注目されているのが全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)です。大学のスポーツで最も注目されているのは東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)です。2023年8月の第105回全国高校野球選手権大会を制覇したのは慶應義塾高校でした。2024年の第100回東京箱根間往復大学駅伝競走を制覇したのは青山学院大学でした。この2つの学校・大学には系列の私立小学校があります。慶應義塾高校の系列私立小学校は慶應義塾幼稚舎です。青山学院大学の系列私立小学校は青山学院初等部です。この2つの私立小学校は日本の私立小学校で最も設立が早く1874年です。2024年で創立150年を迎えます。偶然ですが面白いですよね。2つの学校とも今年のお祝いすべき年に大きなプレゼントがあったようです。さらに、原晋監督は青山学院大学の駅伝監督に就任して20年目になります。節目の年に偉業を成し遂げました。素晴らしい監督ですね。これからもこの2つのスポーツが多くの感動を残してくれることを期待しています。
 
 第100回の記念大会、青山学院大学が優勝、早稲田大学が7位、立教大学が14位でした。今年も3つの大学に「ブラボー」と言いたいです。
 
参考
箱根駅伝公式サイト
https://www.hakone-ekiden.jp/


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