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No.6 2022年1月3日 箱根駅伝優勝、青山学院大学 原晋監督から学ぶ「逆転の発想」「アウトプット」「先見の明」

 青山学院大学が初めて箱根駅伝に出場したのは1943年でした。その後1965年から12年連続出場しています。1976年を最後に箱根駅伝から遠ざかっていました。2004年に原晋氏が監督に就任し、2009年には33年振りに出場しています。2015年の第91回大会では初の総合優勝を手にします。その後、2018年まで優勝し箱根駅伝史上4校目となる4連覇を達成しました。2020年にも優勝し、第98回大会の2022年には同大学が記録した大会記録を大幅に更新する10時間43分42秒という大会新記録で6度目の総合優勝を達成しました。
 私は1973年に高校を卒業し、青山学院大学文学部教育学科に進学しました。中学生から陸上競技を始め、2年生と3年生の時は当時の放送陸上2000mで全国的なレベルの記録を出していましたが、高校の時は伸び悩んでいました。もう一度チャレンジして箱根駅伝を目指そうと青山学院大学陸上部に入部しました。その頃、青山学院大学は箱根駅伝に出場していました。当時は現在のようにテレビで中継されることはなく、それほど注目されることがない競技でした。春先の合宿から参加し活動を始めましたが、能力がなかったこと、自ら学ぶことと大学での勉強が面白かったことから夏休みには退部をしました。私が大学に在籍していた3年間、青山学院大学は箱根駅伝に出場していました。

中学2年生の放送陸上で
退部後、大学の同級生が会津田島の実家に招く

 33年振りの出場、6度の優勝、往路・復路・総合の記録を達成した原晋監督の理念や行動、結果にはとても関心をもっていました。あれほどメディアに出ていてどのように選手を指導しているのだろうか、その秘密は原晋監督の2つの著書に出ていました。その著書とは初優勝後出版された、『逆転のメソッド 箱根駅伝もビズネスも一緒です』祥伝社新書、2015年。『フツーの会社員だった僕が青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉』アスコム、2015年。です。

 ビジネスの経験を生かしたチームづくりや選手の育成で陸上界の常識を破ってきた「逆転の発想」とアウトプットを積極的に実践されていることが大きなポイントだと感じました。
 「陸上選手はこれまで、指導者から『黙々と走れ』『人とあまり話すな』『チャラいことをするな』『派手に笑うな』といった修行僧のような指導を受けてきたのだ。(中略)逆に言えば、青学のように楽しそうに練習し、笑顔でゴールするようなスタイルは、陸上界にとっては風上にも置けないということになるかもしれない」(『逆転のメソッド 箱根駅伝もビズネスも一緒です』より)。ここに逆転の発想があるのです。笑顔がポイントです。これは原晋監督の個性からもきているようです。「青学陸上競技部の1週間を見ると、1日は完全にオフ、残り6日間が練習日になります。そのうち3日間は私が練習内容を決め、残り3日間は選手各自で練習内容をアレンジします。成長に差が生まれるのは、選手自身が自分で決めた練習内容を行う3日によってです。」(『フツーの会社員だった僕が青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉』より)。と選手の自主性を大幅に認めているのです。逆転の発想で選手の自主性を育てることは、教育でも大きな課題ではないでしょうか。
 もう一つ私が注目するのは、「先見の明」です。「青学とスクールカラーがほぼ一緒なのが立教大学である。立教の陸上競技部とはたまに同じ場所で夏合宿をすることがあるために相互の交流があるのだが、立教陸上競技部の雰囲気は私が監督に就任した頃の青学によく似ている。(中略)実際、立教の陸上競技部なら箱根駅伝で優勝することができると思う。ただし、こちらの要望事項をクリアしてもらう必要がある。今のままでは厳しいが、条件がクリアできれば優勝できると思う。」(『逆転のメソッド 箱根駅伝もビズネスも一緒です』)と2015年時点で述べています。私は青山学院大学を卒業後、立教大学大学院文学研究科に進学していますので、校風が似ていることはよく分かっています。その立教大学が2023年以降箱根駅伝の有力な候補として挙げられています。「注目したいのは立教大だ。2018年11月に2024年の創立150周年に向けた記念事業『立教箱根駅伝2024』を発表し、中央大やエスビー食品などで活躍した上野裕一郎氏を監督に招聘して本格強化を進めている真っ最中。(中略)ターゲットは『2024年』だが、1年前倒しで『55年ぶりの出場権獲得』は十分に可能。現役ランナー兼指導者という上野監督のチーム作りとともに、急激に力を伸ばしてきた『R軍団』の動向は注目すべきだ。」(「AERAdot.」2022.1.18より)とのレポートがネットに掲載されていました。すぐに優勝は難しいけれど、55年ぶりの出場の可能性がある立教大学を2015年に評価している原晋監督の「先見の明」には驚かされます。
 私立小学校定年後教育研究を継続し教育コンサルトの仕事を実践している私にとって、原晋監督の「逆転の発想」「アウトプット」「先見の明」は大きな指針になります。これからも原晋監督から沢山のことを学んでいこうと考えています。

​参考
青山学院大学陸上部長距離ブロック公式ホームページ
原晋Twitter

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