見出し画像

【映画の中の詩】『Without Love』(1945)

キャサリン・ヘップバーンとスペンサー・トレイシーの9本ある共演作の1本。そのなかでも、もっとも知られていない作品、なのだそうです。

詩の引用が多めです。
ウィリアム・ワトソン、ドロシー・パーカー、エドナ・ミレイの3人に関しては、それなりに名のある詩人なのですが、日本語によるまとまった情報をwebでは見つけることが出来ませんでした。

ウィリアム・ワトソン卿『Song』
April, April,
Laugh thy girlish laughter;
Then, the moment after,
Weep thy girlish tears,
エイプリル、エイプリル、
少女らしい笑い声を上げてください。
そしてその次の瞬間、
あなたの少女のような涙を流してください、
https://www.poetrynook.com/poem/song-204

T・S・エリオット『荒地』(西脇順三郎訳)
四月は残酷極まる月だ
リラの花を死んだ土から生み出し
追億に欲情をかきまぜたり
春の雨で鈍重な草根をふるい起すのだ。
冬は人を温かくかくまってくれた。
地面を雪で忘却の中に被い
ひからびた球根で短い生命を養い
シュタルンベルガ・ゼー湖の向うから
夏がタ立をつれて急に襲って来た。

https://dl.ndl.go.jp/pid/1348511/1/24

マシュー・アーノルド『ドーヴァーの海岸』
Ah, love, let us be true
To one another! for the world, which seems
To lie before us like a land of dreams,
愛する人よ 互いに真実でいよう!
世界は二人の前に広がっている 夢のように

参考:
人生詩集 帆足理一郎 編

ドーヴァーの海岸 吉田健一訳英米詩集 (青春の詩集 ; 外国篇 9)

ドロシー・パーカー『News Item』
Men seldom make passes at girls who wear glasses.
男は眼鏡をかけた娘にはめったに言い寄らない
https://poets.org/poem/news-item

ドロシー・パーカーは、脚本家としてもアカデミー脚色賞にノミネートされた『スタア誕生』(1937) やヒッチコックの『迷走迷路』などを手掛けています。

ヒッチコックは「ドロシー・パーカーががこの映画のシナリオを手伝ってくれたのがうれしかったな。彼女はじつにしゃれたタッチをこの映画にもたらしてくれたけれども、もしかするとしゃれすぎていて、よくわからないかもしれない」(『映画術』)と言って彼女を称賛しています。

参考リンク:
https://en.wikiquote.org/wiki/Dorothy_Parker?uselang=ja 引用句集
https://dorothyparker.com/ Official Dorothy Parker Site

エドナ・ミレイ『エレイン』
Oh, come again to Astolat !
I will not ask you to be kind.
And you may go where you will go,
And I will stay behind.
アストラットにまた来てね
優しくしてね とは言わないわ
行って頂戴どこへでも
わたしはここにいますから

(エレイン(Elaine)は、アーサー王物語に比較的良く登場する女性の名前)

参考リンク:
レファレンス協同データベース  https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000321989
質問「エドナ・セント・ヴィンセント・ミレーの翻訳された詩を探している」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?