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Backward and in High Heelsージンジャー・ロジャース


「もちろん彼(アステア)は素晴らしかったが、ジンジャーは彼がやったことすべてを後ろ向きに、そしてハイヒールを履いてやったことを忘れないでください」

  (ボブ・セイブス『フランク・アンド・アーネスト』)


『ジンジャー・ロジャース自伝』(渡瀬ひとみ訳、キネマ旬報社)を読んで私が感じのは、ジンジャー・ロジャースという人は賢い女性だなあ、ということでした。

ジンジャーは自分を必要以上に大きく見せようとはせず、そうかといって逆に不必要に卑下することもなく、誇るべきところは大いに誇り、お金のことや恋愛のことも率直に語ります。

俳優仲間や監督やスタッフに対する辛辣な意見も吐きますが、その人達と接するときの自分を戯画化して笑わせたりするユーモラスな視点をいつも持っているので毒が中和されて嫌な感じがしないのです。そこに私は彼女の賢さを感じました。

バッサリ人を切っているようなところもあるので、このへんの感じ方は人によっては違うかもしれないとは思いますが・・・。

でも私はその賢さにジンジャー・ロジャースから、あのダンスと同じく人としても、とてもスマートでエレガントな印象を受けました。

フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの映画の心躍る感じはジンジャーのこの人柄によるところもあったのではないだろうかと思うのでした。


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