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キリエのうたを観てきました!

こんにちは。あるいはこんばんは。おしゃま図書です。
先日、岩井俊二監督の新作「キリエのうた」を観てきました。


178分があっという間

正直、観る前は178分という長さに尻込みをしたのですが(だって、トムの「ミッションインポッシブル デッドレコニング パート1」より長いのよ?)、このキャッチコピーで、観ようと決めました。

体感的には、もっと長くてもよかったな。
なんかね、その昔、ジャック・リヴェットの「美しき諍い女」って映画がありまして、まぁ、4時間あったんですよ。で、2時間版を見たときにあまりに壮大な予告編を見せられている気になって、圧倒的に4時間版のがよかったんですよね。その時に改めて映画って時間を体験するんだなって思ったんです。今って何でも倍速で見ちゃうとかやりがちな世の中だけど。そうしちゃうと散文的な物語って粗筋で追えないから意味がわからないんですよね。多分、「キリエのうた」は、倍速で見ちゃうとつまらないかもしれない。
こんなこと言ってますけど、私も本当は映画って90分くらいが一番いいと思っているんです。そんな私でも、「キリエのうた」はもっと長くてもよかったと思っている、ということなんです。やっぱりね、くりかえしの積み重ねで感じられることってあると思います。
なので、夏彦とキリエ(姉)が、どれほどの恋だったのか、もう少し見たかった気がしますし、最後のライブはノーカットで見たかった。「ボヘミアンラプソディー」みたいにね!

ところどころ小ネタを探すのも一興

岩井さんの映画を見てると、キャスティングも楽しみです。なんとなく、本当に出てる役者さんが、出たくて出てるって感じがするんですよね。あと、岩井さんの趣味?
たとえば本当に鈴木慶一さんのこと好きだなーとか、石井竜也も出てるのか!とか。
岩井さんの過去作品に出てた人たちがたくさん出ていてファンとしては安心感がありますね。結果的にちょい役がみな、主役はれるような人たちばっかりになってたりするの、ある意味、ウェス・アンダーソンみを感じます。
あとはね。もう、ね。樋口真嗣が松村北斗のお父さんって、どーなのよ?  生まれないでしょうよ。いや、吉瀬美智子似なんだよって設定なら、まぁ、そうかと納得できなくはないけど(私は、樋口さんが「リリイ・シュシュのすべて」で財布を盗られる男の役で出てて、自ら役作りしてて「印税なんだよ!」って言ってたのが忘れられません)

見る人ごとに、好きなシーンがあると思います

以前、ウォン・カーウァイの「恋する惑星」をみたときに、感性の賞味期限について記事を書いたのですが。

映画の年齢ってあると思っていて。
子どもの感性でつくられた宮さんの「君たちはどう生きるか」を、大人がわからなかったように、岩井さんの映画はいつだって、そのときの若者に刺さるんだと思います。特に20代の頃にみてたら、ガツンと刺さって「これは私のことだ」と思うような映画だな、と感じました。
残念ながら、すっかりオバサンになってるので、こう、当事者目線で没入できなくなっていますが、それでも時折、私の中の「青二才」な部分が発動して、うるっときたりするのですよ。
るかちゃんの子役時代の子の演技は素晴らしかったし、アイナ・ジ・エンドの歌声も本当によくて。あの声がなかったら成り立たない映画ですもんね。
好きなシーンはいくつもあって、特に、お姉ちゃんの携帯を大事に持っていてベッドで電話越しにお姉ちゃんに語りかけるキリエや、里親から夏彦の家に入り浸ってることを怒られているときにダンスを踊っているキリエをみていると、すごく危なっかしい無垢な子どもって感じがしました。守ってあげたい!みたいな。母目線?
で、そんなに長い間見守ってきたスクリーンの中の彼ら、彼女らは、まるで唐突に、それこそフランス映画のように唐突に、終わってしまうので、178分があっという間って、嘘じゃなかったって思いました。
うそだと思ったら見てみてほしいです。ほんとうに、一瞬の178分ですよ。

余談ですけど、アイナ・ジ・エンドは海外の人に受けるビジュアル(とくに西洋人)に受ける顔立ちだと思いました。なんかちょっと、HIROMIXを思い出しました。

キリエの青いワンピースもかわいい。
着ると歌姫降臨。


プロデューサーの人がキリエに言うんですよね。
「そういう時間は永遠には続かないよ」って。
どっちかっていうと、私には、20代のころ、そんな魔法のような「そういう時間」すらあったかしら、と思うくらい平凡な人生だったので、彼らの世界が永遠に続いてほしいとも思いました。

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