見出し画像

どうぞ...

大切なものを誰かに差し上げるとき
「どうぞ」

チビ猫のころ、教わった
両前足のプニプニに
その大切なものを載っけて、
「どうぞ」

このごろときどき思う。
猫たちも人間も、とても大切なものを
生れたときから持っていて
(というか預かっていて)
それは、もしかすると
小さな、石のかけらだったりして

ときどき思い出しては
ちょっと触ってみる
悲しいとき、口惜しいとき
体がしんどいとき
気持ちがしんどいとき
心の石っころに触ってみると
ちょっとだけ丸くなっていたり

悲しいことや口惜しいことや
しんどいことがあると
その凸凹で磨かれて
心の石っころは
ちょっとずつ丸くなるのかも

いつか
この世界で子猫のいのちが終わり
大きな<いのち>に迎えられるとき
預かっていた自分の小さな石っころを
預かった時よりちょっとだけ
丸くきれいなかたちにして
お返しできるといいニャ
「どうぞ」……って。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?