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ねこじゃら荘のネコジャラシ

     夏、わが大いなる季節
     愛、わが大いなる一日
     そして、あなた
     わたしを目覚めさせた唯一の夢

アラン・ボルヌAlain BORNE (1915-62)
「僕が死んだら」より

ねこじゃら荘のネコジャラシ
根元は小粋に葡萄酒色、
ボルドーの深い赤ではないけれど
村のカフェの淡いロゼ。

Setaria viridis、緑の粟。
フンワリしっぽについた実は、
芥子粒ほどの虫さんや
野の小鳥たちの朝ごはん。

            🌾

大地にしっかり根を張って
株を立派に太らせる
イネ科の仲間のすぐそばで
ネコジャラシたちは遠慮がち。

空き地の片隅、道端で
細い根は地表に浅く
もしも邪魔だといわれたら
あらがいもせず場を空ける。

ネコジャラシたちのように
いつか子猫も行こう、ほんのちょっぴり
葡萄酒色でおしゃれして
さ緑の記憶を胸にそよがせて。

            🌾

ねこじゃら荘のネコジャラシ
夜が明け(風はもう秋)
お散歩帰りのネコたちは
すりすりキッスで「おはようニャン!」

大いなる季節は終わり
大いなる一日が始まる。
猫たちを目覚めさせる
夢も、また。

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