女神の前髪 9 他力発想が無かった

    当時の私は視野が狭かったのです。
それでもこの機械メーカーとの人間関係を持続させておくべきでした。
「売ってみませんか」に乗れば、その後の展開が違ったかも知れません。
当時の私は物事の捉え方が弱かったと言えます。
他人や他の組織の力を借りて起業する他力発想が無かった。

作ったような機械は応用が利くので、私にとっては有望な市場でした。
私の同業分野の市場と得意先の分野の市場の両方に売れるものでした。
その機械メーカーは当時私が知っている市場を持っていなかったと今わかります。
多分今でもまだ直接には持っていないと推測できます。
一品一品仕上げるような仕事は、上場している大会社には向きません。  直接に関わって、大きな資源を割きたくない分野だと思うからです。
しかし、私にとってはまったくの未知の新市場ではなかったのです。
優秀な企業の商品と技術を武器に本業よりも伸びて行く可能性がありました。
何しろ設備投資が要らない。
自分の知識、人脈、情報収集力、他力の結集力や知恵を磨くことで勝負できる。
そのようなエンジニアリング事業は10年後、最先端企業と位置づけられることになりました。
大きな企業ではゼネコンと言われる分野です。
建設、プラントでは昔からあったビジネス手法です。
以降、私が手掛けた機械や、製品・商品は、意識せずにもゼネコン手法(エンジニアリング)で出来上がったものでした。

顧客の要望を反映しながら自分のオリジナルに近い自動機械を作って売ることが出来る。
しかし、本当に取り逃がした女神であったかどうかは分りません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?