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Archive:pH7ことのしだい

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pH7がこれまで制作した作品やワークショップのそれぞれについて、完成に至るまでの思考や手法をまとめた文章、作品画像等をまとめています。 同じ目的でこれまで『しだい』という小冊子を… もっと読む
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記事一覧

pH7.3『字・窓』

書籍(糸かがり綴じ) A5版46頁 14.8cm×21.0cm×0.8cm 2023年11月11日発行 ギャラリー解説背景 枠づけという問題意識は、わたしたちの活動の根本にある。枠は言語表現に限らずあらゆる視覚経験を強力に条件づける存在であり、特に詩歌においてページ内には、制作者と受容者のほとんど意識されない暗黙の了解にもとづいて、枠のもたらす効果が密輸入されている。密輸入と言ったのは、詩歌を搭載する文字列は純粋な記号として考えられがちだからである。例えば音のタイミングと

アクション・ポイエーシス - YBS Vol.1

日時:2023年8月20日 21時40分~22時20分 場所:青山蜂(渋谷) スマートフォン、パソコン、プロジェクター、モジュラーシンセ、マイク、スピーカーを用いたパフォーマンス(30分) 出演者:pH7(筆記)、高田丈(発声)、もんな(演奏) 解説課題 私たちに何かと仕事を振ってくれるナカムラソラ氏から、新たなプロジェクトを始めると連絡があった。ブックディレクターであり本を愛する彼は、クラブの愛好家でもある。新たなプロジェクトとは、その二つを掛け合わせたもの、つまりクラ

セツジツ祭

セツジツ祭日付:2023年6月10日、11日 天気:晴れ、くもり時々雨 場所:ニシイケバレイ(西池袋) 概要 6月10日・11日に西池袋のニシイケバレイで開催された「セツジツ祭」で、pH7は詩のワークショップを行った。 成り行きとしては、またしてもアラマホシ書房に誘ってもらい、「セツジツ祭」というセツジツな人たちのためのお祭りを共同で企画することになった。アラマホシ書房が活動を通して出会ってきたセツジツな人たちが、各々のブースで物を売ったりワークショップを実施したりす

pH7.2『嬉しき玩具』

紙(N式箱) 7.9cm×7.7cm×7.9cm ギャラリー解説作品とゲシュタルト 2号めとなる作品を構想するにあたり、引き続き詩の条件を問い続けるという方向性は変わらなかった。この間に繰り返された話し合いでは、主にジャンル間の翻訳という問題を扱っていた記憶がある。青柳菜摘氏の小説と詩をはじめ、ある創作を異なるジャンルに移し変えることは可能か。短歌を現代詩に変換することは可能か。絵画を写真に、彫刻を演劇に?この問題は直接的には、後のワークショップ「文体収集」に受け継がれる

pH7.1『詩情的状況』

紙、布 16ページ 42.0cm×59.4cm(A)、50cm×50cm(B) 2022年11月19日発行 pH7の第一作。詩のpHジャンプが起こることを期待して、詩の滴定を行っていくpH7のメインシリーズ。タイトルである「詩情的状況(コンディション)」は、現在の言語をめぐる状況(condition)において、何に詩情を感じるか、何が詩を詩たらしめるのかという条件(condition)を形式的に思考する試みを表している。このようなテーマが浮かんできたのは、伊澤椅子と片田甥夕