(千字書評)石田圭子『美学から政治へ──モダニズムの詩人とファシズム』
本書は、一見ファシズムに対立すると思われるモダニズムの詩人たちが、実のところファシズムを準備していた、あるいはファシズムに心酔する結末に至った理路を、詩(文学作品)と政治における「ゲシュタルト」を核として明らかにするものである。
詩におけるゲシュタルトの根本的な問いとは、いかにしてある言葉の連なりが「一つ」の「詩作品」として認識され、成立し得るのかというものである。単なる各要素の合算ではない、各要素に還元されてしまうことのない、言葉とイメージの結合がもたらすゲシュタルトとし