消毒用エタノールが薬局製剤の対象であるという話

原発性多汗症には塩化アルミニウム外用液がよくつかわれます。日本皮膚科学会のガイドラインでも推奨されています。

多汗症の処方薬としてエクロックゲルがありますが、処方するにはハードルが高く、必要部位以外での作用発現をさけるために塗布方法にも制約があり、また効果も?の部分があり、塩化アルミニウム外用液のポジションは当面高いままだと思われます。

塩化アルミニウム(正しくは塩化アルミニウムⅢ六水和物)は試薬として入手可能ですが、医薬品ではありません。塩化アルミニウム外用液を医薬品として販売するためには薬局製剤の製造販売の承認、許可を得る必要があります。

薬局製剤は、あらかじめ定められた品目について、事前の承認を得たうえで、医薬品として薬局が提供する仕組みです。

上述のとおり、塩化アルミニウム外用液は、代替できるものがないので、うちの薬局は薬局製剤の承認をとっています。

薬局製剤の承認の際には、以前は400品目以上の全品目を薬局製剤の対象とするように求められていたようですが、現在はその薬局で必要なもののみを選択できるようになっています。

うちの薬局で、どの品目の承認を申請するかを検討した際に、消毒用エタノールが薬局製剤の対象品目となっていることに気が付きました。

薬局製剤の対象品目となっている医薬品は、薬局製剤の承認を得なければ医薬品として供することができません。

来局してくださった方にエタノール含有液を用いた手指消毒をお願いする場合、医薬品、もしくは医薬部外品としての使用に該当します。

医薬品、もしくは医薬部外品である消毒用エタノールを購入し、それをそのまま手指消毒に使っていただく場合は問題ないと思いますが、無水エタノールを希釈して消毒用エタノール濃度とし、手指消毒に使っていただくには薬局製剤の承認を得ておく必要がありそうです。

なお、食品添加物であるエタノール含有液(パストリーゼとか)を手指消毒用に提供するのは薬機法に触れることになります。

感染症が流行している状況では細かいことはいってられない、ということになりますが、薬局製剤の対象品目に消毒用エタノールが含まれていることにびっくりした、という話でした。

追記 令和2年4月16日付け医薬・生活衛生局医薬品総務課、監視指導・麻薬対策課及び医薬品審査管理課連名事務連絡等では高濃度エタノールからの希釈のみが記載されているのは、薬局製剤の対象となっていることが意識されているのかもしれません。




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