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【Tracing the Veins】 曲目紹介⑤ 田中慎太郎《永遠と一日》《夢を花筏に乗せて》

『"Tracing the Veins" 田中慎太郎 with Phidias Trio』の公演、いよいよです!12月9日15:00、幡ヶ谷KMアートホールにてお待ちしております。

田中慎太郎さんの作品、「永遠と一日」シリーズと「夢を花筏に乗せて」について、田中さんご自身によるプログラムノートです。

【永遠と一日シリーズ】
2020年の冬、winter light ensembleと題して室内楽アンサンブルの無観客ライブを収録しました。昨年秋にはそのライブで演奏した楽曲を抜粋・レコーディングしアルバムをリリースしましたが、今回はあえてアルバム未収録の楽曲を中心にトリオアレンジを行いました。無観客ライブの模様はYouTubeでwinter light ensembleと検索するとご覧いただけます(バイオリンは松岡麻衣子さん)。オリジナルはピアノと弦楽三重奏に笙とギターを加えた編成でしたが、今回のクラリネット三重奏によるアレンジは、冬の冷たく澄んだ空気をより一層端的に表現できていると思います。

【夢を花筏に乗せて】
オリジナルはフルートとチェロによるデュオで、初演は2023年2月、今井貴子さんと北嶋愛季さんにより行われました。タイトルの「花筏」とは、水面に散った花びらが筏のように連なって流れていく様子を表した言葉です。夢と花に見立てた断片的なモチーフが繰り返されます。「花ちれる水のまにまにとめくれば山には春もなくなりにけり(清原深養父)」という古今和歌集の歌が作曲当初のイメージでした。川を流れる花びらはすでに散った花であり、夢を夢と知るのは醒めたあとのことなのです。

田中慎太郎

田中さんの紡ぐ音と世界、ぜひ会場でお楽しみいただけましたら幸いです。

公演詳細

Tracing the Veins
田中慎太郎 with Phidias Trio

日時 2023年 12月9日(土)
15時開演 (14時半開場)
場所 KMアートホール

チケット料金 
一般3000円
学生1500円

プログラム
ギヤ・カンチェリ
・18のMiniatures より

田中慎太郎
・水理をたどって(新曲初演)
・冬の朝に
・寒茜
・時灯
・夢を花筏に乗せて

橋本信
・Late autumn(新曲初演)

ハウ・ワトキンス
・Dream

出演
Phidias Trio
松岡麻衣子(ヴァイオリン)
岩瀬龍太(クラリネット)
川村恵里佳(ピアノ)

田中慎太郎(ギター)

田中慎太郎
音の肌触り・静けさをテーマに、モダンクラシカルからアンビエント、映像作品への楽曲提供など多様な形式での制作活動を展開。2018年、堀坂有紀とのユニット「静かの基地」としてアルバム「つきのふね」をリリースする。以降、バイオリニスト新村隆慶とのデュオ「詩音李」によるアルバム「夢は真冬の追憶のうちに凍る」のリリース(2021年)、踊りと演奏によるグループ「満月カルテット」による2日間公演「明月の夜」(2022年)など、コラボレーションによる活動も多数。2022年、室内楽アンサンブルによるソロアルバム「永遠と一日」をリリース。

Phidias Trio (フィディアス・トリオ)

ヴァイオリンの松岡麻衣子、クラリネットの岩瀬龍太、ピアノの川村恵里佳により2017年に結成。これまでの主催公演では、現代の優れたクラリネット三重奏の作品を取り上げるとともに、 オーストリア、アルゼンチン、ブラジル、チリ、トルコ、韓国、日本の若手作曲家の新作を初演し、 好評を博す。また、ハニャン現代音楽祭(韓国・ソウル)や、日本作曲家協議会主催「日本の作曲 家2021」等、数々のプロジェクトに招聘されている。2021年12月に出演した日本現代音楽協会 主催「ペガサス・コンサート vol.3」の公演の模様は、NHK-FM「現代の音楽」にて、2週に渡って放送された。
https://phidias-trio.com

お問合せ phidias.trio@gmail.com

主催: Phidias Trio

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