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中東音楽!ターキッシュ・クラリネットを聴く【アルバム4種おすすめ】

皆さん、最近、ワールドミュージック不足じゃないですか??

邦楽や洋楽もいいんですが、やっぱり栄養分が偏っていると、体に悪いですし……というわけで、私が最近ハマっている「ターキッシュ・クラリネット」という楽器を用いたアルバムをいくつかご紹介します。


ターキッシュ・クラリネットって何だ?

ときに、クラリネットという楽器は、御存知でしょうか。童謡『クラリネット壊しちゃった』で有名な楽器ですね。クラシック、ジャズ、軍楽隊、吹奏楽などで使われています。

この楽器は、息の力によって、「リード」という葦(植物)の破片を乾燥させた小板を振動させて音を鳴らす楽器です。1700年ごろにドイツで、シャリュモーという古楽器を発展させる形で開発されました。

現在、一般的に、クラリネットには、日本を含む多くの国で使われている「ベーム式(フランス式)」と、主に、ドイツやオーストリア(ウィーン・フィルやベルリン・フィルも!)でのみ使われている「エーラー式(ドイツ式)」の、2種類のキー配列方式があります。

しかし、トルコや一部東欧地域の民謡などでは、現代ではめっきり廃れてしまった「アルバート式(シンプル式)」と呼ばれる古い運指方式のクラリネットを使用しています。これが、ターキッシュ・クラリネットです。

ターキッシュ・クラリネットの多くは、G管。吹奏楽でよく使われるB♭管や、オーケストラで併用されるA管よりも、少し音が低く、音色もどこか素朴な感じがします。

おすすめアルバム

小見出しアルバムタイトルからsongwhipのページに飛べるので、Apple Music派の人は、そちらからどうぞ〜〜。

①正統派中東音楽とジャズの融合:Harel Shachal「Solomon's Dream (2016)」

一つは、イスラエルをベースに活動しているHarel Shachalが主宰するバンド、The Ottomansのアルバム「Solomon's Dream」をご紹介。

Harel Shachalの音楽的なルーツは、現代ジャズと中東音楽。「マカーム(アラビア語:مقام)」と呼ばれる、アラブやトルコから、中央アジア・ウイグルに至る地域に広く根付いている、中東音楽の伝統的な旋法に精通。また、米ニューヨークのニュースクール大学ジャズ・現代音楽学科で講師を務めつつ、バンドAnistarの活動などを通じ、中東音楽とジャズの融合を志向し続けてきたそう。

そんなHarel Shachalがターキッシュ・クラリネットを操りつつ、5名の中東の伝統楽器(とヴァイオリン)奏者と活動しているのがThe Ottomans。ギターともバンジョーともつかない中東の弦楽器ウードや、太鼓タブラの音色がなんとも言えないオリエンタルな雰囲気を醸し出します

中東音楽独特のリズムが、情熱的になにかを訴えかけつつも、どこかトリップしているかのような雰囲気を与えています。キメの部分や、その後の間なんかも、なんと表現していいのかわからないのですが、とにかく西欧音楽とは全く違う独特な感じで、クセになる。

②ターキッシュ+ジャズ!?:Onur Çalışkan「Esrik (2020)」

続いて、トルコのOnur Çalışkanによるアルバム。読み方わからん……。こちらも、ジャズとトルコ音楽の融合ながらも、かなりジャズに寄った感じ。ジャズで、クラリネットがここまでメインを張ってるの珍しいですね。

どの曲も、一見普通のイントロなのですが、よくよく聴いていると、進行(というよりは、音階旋法?)や、ふとしたキメのリズムが、めちゃくちゃ中東音楽です。微分音(半音よりも狭い音程のこと)も多様されてますね。

私の個人的お気に入りは、6.「Felek Sen Ne Feleksen」です。中間部のモチーフとか、絶対自分のレパートリーには入ってないのに、なんとなく惹きつけられる。めちゃくちゃコブシ聴いてるのにおしゃれですよね。

③トルコ伝統楽器3人組:Taksim Trio「Taksim Trio (2009)」

ターキッシュ・クラリネットと、撥弦楽器サズ(バーラマ)、中東琴カーヌーンの3人組Taksim Trio。そんなトルコ伝統楽器トリオから出た、冠アルバムです。

言葉を選ばずに言うと、明らかに聴いたことない音階だし、音だし、リズムだし、めちゃくちゃ民族音楽なんですけど、野蛮じゃあないというか、泥臭くないというか。

カーヌーンというのは、なんと、9分音が出せるそうです。繰り返されるフレーズ、それらが絡み合って音楽が展開していくところ、それに微分音が合わさって、ものすごくスピリチュアルな音楽体験になっています。

琴っぽい音なので、何度も「和」かなと騙されそうになるんですが、明らかに中東です。ビブラートっぽい音とか、ベンドネックみたいな音(どうやって出してるか謎……)とか、ミュートみたいな音とか、聴いてるだけで、自然と奏法も気になりますよね。

④フランスのクレズマー・クラリネット:Yom「Alone in the Light (2023)」

クレズマー音楽を奏でるフランスのターキッシュ・クラリネット奏者Yomによるアルバム「Alone in the Light」。クレズマー音楽ってのは、私もちゃんとわかっているわけではないんですが、もともとは東欧ユダヤ系の音楽で、ユダヤ人移民を通じて全世界に広まっているものです。

3.「Inner Cosmos」なんか、一番のお気に入りなんですが、表現力も素晴らしいし、技巧もある。この記事では、4つアルバムを紹介しました。どれも自信を持っておすすめするんですが、個人的には、このアルバムが、一番耳馴染みがいい気がします。

10.「Epilogue」では、アンビエント的な電子楽器も取り入れつつ、かなり大胆な音作りをしていたり、遡って2015年リリースの「Song for the Old Man」では、全体にアコースティックで素朴なテイストだったりと、どの曲を聴いても飽きません。


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