9.権利とハイデガーの第3の退屈

ソリトンは安定であるが、カオスに帰することがあり得る。

ソリトンであるためには、無限個の保存量が必要である。

だからこそ、ソリトンの実現は困難であり、社会は散逸構造なのである。

しかし、人間は安定した環境の上にしか事物に価値を見出すことができない。(8.愛と疎外)

カネの価値は交換できるという前提の上に成り立つ。情勢が不安定で略奪が横行するような社会ではカネは紙屑、金属片、暗号でしかない。そしてその価値は社会より大きな枠組みである自然という環境の上に決められる。

安定を目指すが、真の安定に至ることはない。

そこに絶望の、虚無感の、入り込む余地がある。そこでは人間は目的を失い、第3の退屈(第1、第2の退屈については1.普通と特別で述べた。)に陥ることになる。

世界が明日終わると知っていたら、努力などできるだろうか。

ソリトンを目指すならば不断の努力が必要となる。

世界が第3の退屈に覆われるとき、権利の存続が危ぶまれるのである。

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