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Oye Como Va


「流れ星って見たことないんだよな〜」

 流星群と聞けば直ぐ車を出せるのがフリーターの良いとこだ。

「ヘルドッグもハナミチも勝手にバンに登るな」

 機材係の鬼童貞に咎められ、やれやれと車から降りると人数分のコーラを抱えラーフラも丁度車内から出てくる。

「外寒っぶ〜何で湯たんぽ君連れてこないんだよ〜」

「柴犬は夜になると寝ちまうんだよ」

 鬼童貞・ヘルドッグ・ラーフラ、俺の最高のバンドメンバーだ。

「あっアレもう流れ星じゃね?」

 夜空を見上げると丁度一筋二筋と星が流れ始めていた。

(こいつらと音楽を続けられますように)

 星に願い瞳を閉じた。

 ぐしゃり

 自分の顔の骨が歪む鈍い音が聞こえた。何事か理解しようとするもゆっくりと意識が闇に……


 ◇


「オイ!ハナミチ!」

 一同が駆け寄ると花道の顔面には石が埋まっていて体はマグロのように痙攣して跳ね回っていた。

「これ隕石か?嘘だろ、顔面に落ちてくることなんてあるのかよ!救急車!救急車呼ばねぇと!」

 顔から滲み出るピンクの汁を見て神経質な高松は嘔吐する。

「何だこのピンク汁……人間の組織液じゃないだろ……」


 高松をさすりつつ加藤がおずおずとそれに手を伸ばすと汁が触手めいてビチビチと跳ね回る。

「うわっ!」

 一同が衝撃で声を上げると汁が大量に噴き出し顔の陥没を埋め修復する。痙攣が止まりゆっくりと花道が立ち上がる。

「……あー」

「はっハナミチ……?」

「あ〜」 

「ハナミチじゃないよこれ……まさか宇宙……」

「ラーフラ!馬鹿かお前!ハナミチが生きてたんだ!」

「あー、ら〜」

 水本が花道を指差してどなる。

「ほら!ハナミチの歌声だ!あいつだよ!」
 
「……確かに音程を取ろうとしてるみたいだ」

「ら〜ら〜」

「……キーボードは出来んのかな」

 加藤の呟きに高松がギョッと目を見開く。

「は?お前、お前マジか?」

 加藤がハナミチだったものの肩を掴む。

「お前、何なんだか分かんねぇけど、バンド入れ。責任とって」

(つづく)

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