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パンデクテン | インパクトのある言葉

 「パンデクテン」。言葉の意味はすぐに忘れてしまうのだが、「パンデクテン」という言葉の響きにインパクトがあって、今でも記憶に残っている。
 たしか学生時代の法学の講義かなにかの時間に聞いた言葉だ。

 古い辞典だけれども、学生時代に買った有斐閣の「法律学小辞典」の「パンデクテン法学」の項目に、次のように説明されている。引用してみる。
⚠️すべてを読む必要はありません。斜め読みしてみてください😄。

パンデクテン法学(独)Pandektenwissenschaft 
19世紀ドイツのローマ法を素材とする私法学のこと。パンデクテンとは、「ローマ法大全」の中心部分である法学者の著作の抜粋「学説彙纂(いさん)」(ディーゲスタ(羅 Digesta)  (希Pandektai))のことで、私法学がローマ法の素材の中でもとりわけパンデクテンを重視したこと、その代表的な著述形式が「パンデクテン(法)教科書」であったことから、この名がある。17, 18世紀のいわゆる「パンデクテンの現代的慣用」に比べてみたとき、この法学の特徴は、自然法論からの影響で概念化、体系化が進んだ点にみいだせる。問題となる事案に適合する準則をローマ法文中にみいだせない場合でも、ローマ法文から抽出した概念を用いた構成により新たな準則を生み出すことができる(構成法学)。このようにして古来のパンデクテンの適用の形をとりながらも、変化の激しい19世紀の社会の需要にこたえようとした。その成果は、ドイツ民法典に結実したが、他方、こうした法学の概念化は、事案との関連性が方法論上副次的とならざるをえず、事案との関連性を強調する論者からの、いわゆる概念法学との批判を免れえなかった。

「法律学小辞典」

 私には、とても分かりにくい説明である。簡単に言えば、パンデクテンとは、「ローマ法の著述形式」の類いのことなのだろう。

 もう少し簡単に一言でいうことはできないのかな、と思って、今度は「独和辞典」で「パンデクテン」を調べてみた。

Pandekten
[法律] (古代ローマ法の)パンデクテン、学説彙纂(いさん) ; [比] 法学

冨山芳正「独和辞典」郁文堂

 ああ、さっきの法学辞典にも「学説彙纂」(いさん)て書いてありました。今度はシンプル過ぎてよくわからない。
 「パンデクテン」とは「学説の言葉を編纂したもの」ということだろうか?

 もっと簡単に言うとどういうこと?
 次に「パンデクテン」を検索してみた。


(↑)の記述によれば、

「パンデクテン方式」とは、民法典において、一般的ないし抽象的規定を個別的規定に先立ち「総則」としてまとめることにより、法典を体系的に編纂することに主眼をおいた著述形式である。日本の民法典は、パンデクテン方式によって構成・記述されている。

 ふふふ😃。これは分かりやすい。
 いちいち最初から個別のケースを規定するのではなく、法律の趣旨というか、全体を貫く気持ち(というか法律の意図)を「総則」として掲げてから、より具体的な「個別的な規定」(各論)を置くような法律の形式のことを「パンデクテン方式」というらしい。なるほど。

 今調べたことを自分なりに要約すると、

「パンデクテン」とは、
『「総論」を掲げてから、「各論」を置くという「法律の形式」』

ということになる。

 まぁ、普段使うことのない言葉だから、またしばらくすれば忘れてしまうだろう。

 けれども、かつて覚えた言葉をふと思い出すことは、これからもありうる。
 意味はすぐに忘れてしまうけれども、「音」だけを思い出すような「言葉」って、あなたには何かありますか?


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