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短編小説 | シルクロード ( 大人への道 [再掲])

 中1から中2になる春休み。

 春休みというものは、学年がかわる時期だから、宿題はさほど多くない。この頃に、同学年ながら、私の「メンター」と呼ぶに相応しいS美と、急速に親密な仲になった。

 同じ学年と言っても、私は3月生まれ。S美は4月生まれだから、身体的な成長には、ほぼ1年の開きがある。

 春休みのある日、私はS美に誘われて、S美の自宅に行った。
「ねぇ、こういうマンガを読んだことある?」
 差し出されたのは、レディコミだった。
 私は、そういう類いのものは、読んだことも見たこともなかった。保健体育の時間に、学校で学んだ知識以上のことは何も知らなかった。まだ、生理も経験していなかった。

「こういうのは、やめようよ」と私は断ろうとした。
「いいから、読んでみてよ。誰でも最初は戸惑うけど、絶対ハマるから」
S美は執拗にレディコミをすすめた。

 しぶしぶ読み始めた。しかし、読み進めるうちに、すっかり虜になってしまった。

「す、すごいね。こんなに洪水のようになるの?」

S美はにっこりしながらこたえた。

「ちょっとゴメンね」という言葉を聞き終わるや否やのタイミングで、S美の手は、私のパンティの上に伸びた。

「えっ、なにするの?」私はただ驚いた。

「ふふふ。M子ちゃん、自分でここ触ってみてよ」
S美の手に導かれて、私は自分のあそこに手をあてた。

「M子ちゃんも濡れやすいんだね。こんなにビショビショだよ」

 その後も、春休みの間、S美の家に入り浸った。コミックを読み終わったあと、S美と私は、お互いの濡れ具合をチェックするようになった。

「M子ちゃんさぁ。いつもコットンだよね。下着どこで買ってるの?」

「だいだい、シ◯ムラで買ってるけど」

「そっかぁ、安くていいもの多いからね。でも、男の子とそういうことになったとき、シルクのほうが絶対いいと思うんだよね」

「なんで!?」と私は尋ねた。

「だってさ、コットンだと、濡れてもすぐに染み込んじゃうでしょ。シルクだったら、濡れたらスジができるから、男の子に感じてるのが分かりやすいでしょ?」S美は事も無げに言った。

「で、でも、濡れたのがバレたら、恥ずかしいでしょ?」

「恥ずかしいけど、でも、それが男の子にとって嬉しいんじゃないかな?これね、まだ、一回もはいたことがないシルク。あげるから、今日、夜はいてみてね!」

 その夜、S美にもらったシルクをはいて、机に向かった。そして、S美から借りたレディコミを熟読した。読み終わったとき、懐中電灯で、シルクを照らした。

 そこには、水のようなしみだけでなく、赤いしみもついていた。シルクの上に、濡れた赤い一筋の道。大人に近づくための小径ができた。でも、お母さんには内緒。お赤飯を用意されてもね。


おしまい

再掲ですが、ちょっとだけ加筆訂正しました。


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