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名刺代わりの小説10冊

Twitterやnoteでよく話題になるこちらの「名刺代わりの小説10冊」。私も書いてみたかったのですが、Twitterでは文字数制限に引っかかってしまったのでnoteで書くことにしました。

でもこういうのって、選定が難しいですね…


1.村上春樹「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」

自分の中で一番だと思っている作品。村上春樹の初期作品のひとつですが、作品の完成度がとにかくすごくて、村上春樹の最高傑作だと思っています。どこまでも静かな世界「世界の終わり」と、冒険活劇が展開される「ハードボイルド・ワンダーランド」が交互に読者の頭を揺さぶります。

2.村上春樹「東京奇譚集」

こちらは村上春樹の短編集です。「偶然の旅人」「ハナレイ・ベイ」「品川猿」など私の大好きな短編が収録されています。特におすすめしたいのが「偶然の旅人」。偶然と呼ばれる物事が導く不思議な物語で、ちょっと心が暖かくなれます。

3.角田光代「彼女のこんだて帖」

こちらは角田光代による、料理と食事を主題とした短編集です。男に振られたときは何を食べようか、妊娠が発覚したときのご飯、妻を亡くした男のひとり飯。さまざまな人生を生きる人々にやさしく寄り添う「ごはん」の形を、ほっこりした視点で描きます。

4.横溝正史「悪魔の手毬唄」

横溝正史による金田一耕助シリーズの中の一つ。有名な作品ですね。横溝正史の作品はいくつか読んだのですが、その中でもすごく好きな作品がこちらなんです。「岡山弁がとてもかわいい」「登場人物全員にドラマがあってすごくチャーミング」なところがとても好きです。

5.宮部みゆき「おそろし 三島屋変調百物語事始」シリーズ

宮部みゆきの江戸物シリーズ大好きで、だいたいぜんぶを読んでいるのですが、このシリーズほんとに大好きです。主人公・おちかはある事情から、お客さんを招いて不思議話を聞く「百物語」を務めることになります。彼らが語る「不思議話」とはどんなものなのか? 毎回心躍らされます。

6.太宰治「斜陽」

太宰治が好きなのでどの作品を選定しようか迷ったのですが、今回は「斜陽」にしてみました。有名な作品なのでご存知だと思いますが、没落していく貴族たちを描いた作品です。後半のかず子の手紙のシーンがめちゃくちゃ好きなんです。没落していきながらも、強い意志が込められた作品。

7.永井路子「姫の戦国」

戦国時代に女性ながらに大名の政治を行い、「尼御台」と呼ばれるほどの権勢を誇った人物がいました。その名は寿桂尼(じゅけいに)、この作品の主人公です。公家である中御門家から今川家に嫁いだ主人公は、夫が病に倒れると政務を行うようになり、そのまま息子の政務も後見します。今川家の全盛期を作ったとされる女性をいきいきと描いた小説です。

8.永井路子「美貌の女帝」

奈良時代の女帝・元正天皇(氷高皇女)を主人公とした作品です。彼女は自分たちの血統を守ろうと戦うのですが、次第に枝葉を広げてくる藤原氏が元正の敵として立ちはだかります。持統天皇、長屋王、藤原不比等など、脇役もとても豪華な小説です。

9.井上靖「楊貴妃伝」

中国は唐の時代、絶世の美女であったがゆえに数奇な運命を生きた楊貴妃の生涯を、淡々とした文章で綴ります。私は井上靖の小説大好きで、この乾いた文章がすごく癖になります。

10.帚木蓬生「国銅」

最後の小説はこちら。奈良の大仏を作った人夫たちの毎日の仕事を、淡々と描いた作品です。驚くほど辛い大仏作りを必死でこなす主人公たち。主人公はそれだけではなく、字を学び、詩を作り、薬草も作り…と暮らしていきます。淡々とした中で、生きることを静かに行う主人公の姿が印象的な本です。


私の名刺代わりの10冊、どうだったでしょうか。後半は歴史小説ばっかりになっちゃいましたけどね。でも歴史って面白いですよ。

村上春樹は「街とその不確かな壁」を今読んでいるところです。読み終わったらこのリストにも入ることになるかもしれないですね。


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