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映画『パラサイト 半地下の家族』

先日、話題となっている映画『パラサイト 半地下の家族』を鑑賞した。
外国作品として初めてアカデミー賞を受賞し、多くの人が訪れているこの作品について語りたいと思う。

初めて映画館で観る韓国映画


私は韓国映画が好きだ。
日本映画にはない独特の雰囲気、例えば常に北と向き合っている緊張感、強い家族意識、映像から漂う生生しい凶暴性とバイオレンス表現に昔から惹かれるものがあった。

今までも、『シュリ』、『JSA』、『ブラザーフッド』、『シルミド』など北との紛争を題材にした名作を中心に、『光州5.18』や『1987、ある闘いの真実』など、軍事政権下の闇を扱ったものも多く見てきた。同級生が恋愛映画や漫画の映画化などに熱中していた頃に、こういった作品を好んで観ていたのである。


どんなジャンルの作品にでも、北の影が見え隠れするのが韓国映画の特徴だ。また、自国の闇に積極的に切り込む作品も多い(当然かなり脚色してはいるが)。軍事政権下ではタブーだった出来事が、民主化によって明るみに出て、イデオロギーに囚われない自由な思想で発表できるようになったのもあるが、そこにエンタメの可能性を見出した映画業界もなかなか逞しいものである。

北と同様に日本もよく登場する。ある時は憎むべき仇敵、ある時は憧れの先進国として、様々な登場の仕方をする。韓国人の日本に対する複雑な感情の表れなのだろう。

ポン・ジュノ監督作品


監督の他の著名な作品には、『グエムル』や『スノーピアサー』などがある。グエムル公開当時、家族が団結して怪物に立ち向かうアクション映画など、日本では見たことがなかったので、日韓の家族観の違いをひしひしと感じた。家族が協力して敵と戦うなんて、日本では埼玉県在住の野原一家ぐらいだろう。

あらすじは、路地裏の汚い半地下で暮らす一家が、身分を偽りながらあの手この手を使って、ある金持ちの家に取り入っていくものだ。詰めが甘かったり展開に無理があったりする部分も多々あるが、細かいところに目を瞑ればエンタメ作品として十分楽しめる出来だった。一応アカデミーやパルムドールの看板は伊達ではないということだろう。2時間を超える映画だが飽きることなく観賞できた。

とにかくネタバレしてはいけない内容なので、細かな言及は避けたい。気になる人は観に行っておいて間違いはないだろう。
隣国の文化や思想を知るには、映画はうってつけのコンテンツだと思う。月並みな意見ではあるが、ソフトパワーが暗雲立ち込める日韓の相互理解に役立つことを願う。

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