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商売十訓

『商業界』という業界誌があった。
私が社会人になりたての25年程前が
全盛だったようだが、
その後ジリジリと後退を続け、
昨年3月末で会社が破産申請。
債務超過もかなりの額に上っていた
様子である。

この雑誌の創設者たちがまとめた
「商売十訓」
というものがある。
その名の通り、商売する者の心得を
10箇条にまとめたものだ。

一、損得より先に善悪を考えよう
二、創意を尊びつつ良い事は真似ろ
三、お客に有利な商いを毎日続けよ
四、愛と真実で適正利潤を確保せよ
五、欠損は社会のためにも不善と悟れ
六、お互いに知恵と力を合せて働け
七、店の発展を社会の幸福と信ぜよ
八、公正で公平な社会的活動を行え
九、文化のために経営を合理化せよ
十、正しく生きる商人に誇りを持て


立派な心得を説いていたにも
関わらず、破産に至ったという
ことで、少々信憑性に疑問符を
持たれる向きもあるかもしれない。
しかし、内容自体は非常に本質的、
本格的
だと思うので、紹介して
みたいと思った次第だ。

いくつか気になるポイントを
取り上げよう。

一、損得より先に善悪を考えよう

目先の損得に目がくらみ、
違法行為に手を染める。
違法とまではいかずとも、
スレスレのところを狙う。
そういう会社は、短期的には
繁盛するかもしれない。

しかし、社会や、その構成員たる人
あってこその会社
である。
社会や人に害をなす行為は、
中長期的にはその責を負う
ことに
なるはずである。
逃げ切ろうとしても逃げきれない。


三、お客に有利な商いを毎日続けよ

マーケティングの王道である。
お客様のことを第一に考える。
お客様にベネフィットをもたらす。
お客様が「また買いたい」と思って
くれるような商売をする。

しかも、それを毎日続ける。
「飽きずに続けるから商い」
なんて言葉もあるが、
愚直にお客様を喜ばせ続ける。
CRMなんて洒落た言葉でなくても
この一文で十分かもしれない。
お客様との良い関係性を、
コツコツと構築していくのが大事。



七、店の発展を社会の幸福と信ぜよ

店の発展」という言葉を使うあたり、
小売業界を活動の中心に据えてきた
『商業界』らしい項目である。

店舗でも会社でもよい。
その発展は、社会を一歩先へと押し
進める力になる。
店が儲かるということは、
その従業員の苦労が報われることに
つながる。
と同時に、その店で買い物をした
お客様のニーズが満たされる
こと
にもつながっている。
結果、社会の幸せの総量が増えた
ことになる
はずだ。


以上、ごく簡単にだが「商売十訓」を
紹介してみた。
一つひとつが短い文で、様々な解釈の
余地を我々に残してくれている内容で
あるため、自身の現在の状況、境遇
などに照らし合わせて、色々思考実験を
してみるのに都合の良い素材となると
思う。



己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。