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「鼻セレブ」からクレンジングタオル

前職で化粧品に関わっていた頃、
ITO(アィティーオー)という会社から
発売されたクレンジングタオル
急速に人気を獲得して話題になった
ことを記憶している。

クレンジングタオルというのは、
洗顔後に顔から水分をふき取るのに
使ったり、メイク落としに使ったり
できる便利コスメグッズ

洗顔後は、タオルで水分をふき取るのが
普通だが、特に夏場は雑菌の繁殖が心配
クレンジングタオルであれば、
使い捨てなので雑菌の心配は無用
しかも、かなり強力な水分吸収力を
発揮してくれる。

1枚当たり10円前後とコスパ的にも
大きな負担感なく利用が可能で、
手放せないと言っている人も多い。

昨年9月のVoceの記事では、
先程挙げたITOの商品も含め、
3つほど紹介されている。

つい最近、日経MJの記事で、この
クレンジングタオルのことが
取り上げられていた。

「タオル」という名前ながら、
実際は「ペーパー」に近い
見た目がキッチンペーパーに
かなり似ている。

それだけでなく、そもそもの素材が
ティッシュやトイレットペーパーと
同じ「パルプ」(木の繊維質)に
レーヨンを加えて作っている

だからなのだろう。
なんとこの3月、「鼻セレブ」のブランド
で有名な、王子ホールディングス傘下の
王子ネピアから、クレンジングタオルが
新たに発売されたのだ。

「鼻セレブ」と言えば、
高い認知度と人気を誇る
ティッシュペーパー。
特に花粉症の時期は、
これを手放せない人も多いだろう。

「ローションティッシュ」などとも
呼ばれ、ティッシュペーパーの
肌当たりを柔らかくする
ために
表面にローションを塗布して、
鼻を何度かんでも痛くならないよう
配慮した商品である。

その「鼻セレブ」ブランドから、
クレンジングタオルが発売されたのだ。

この話を聞いた時に、すぐさま頭の
中をよぎったのは、何とも残念な
ブランド拡張の事例にならなければ
良いけど
なぁ・・・というもの。

強いブランド、世の中で確固とした
ポジションを確立したブランド、
そのブランドの「おこぼれ」
あずかろうとしてやってしまいがち
なのが、「ラインエクステンション」
と呼ばれる行為。

「エクステンション」とは、
拡張するとか広げるといった意味、
要はブランドの対象となる商品の
範囲を広げる
ということ。

ブランドは、なにがしか消費者が
期待することに対して、
その期待に応えられますよ!という
信頼を担保する機能
を持っている。

しかし、やみくもにブランドを広げて
しまうと、この信頼を担保する機能が
失われてしまうのだ。

そこで問題になるのが、
「鼻セレブ」は消費者に何を約束して
いるのか
、ということ。

私が個人的に思うのは、
「鼻セレブ」は、あくまでも「鼻」が
名前に入っている以上、鼻をかむ際の
ベネフィットを約束するブランドに
過ぎない
のでは、ということだ。

トイレットペーパーは、
「おしりセレブ」という名前に
変えているように、商品が実際に
使用される体の部位に対する
肌あたりが「セレブ」感覚である
ことを約束している
、そんな印象を
持っているのである。

そう考えたときに、今回の
「洗顔専用フェイシャルタオル」を
「鼻セレブ」で出したのは間違い
で、
せめて「顔セレブ」という名前で
出した方がしっくり来た
だろう、
そんなことを感じたのだ。

ITOなどに比べてもかなり後発となる
こともあり、苦戦を強いられると
予想されるこの商品。
この先うまく行かなかったとしたら、
名付けにもその要因が求められると
言って良いだろう。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。