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メタバースについて編集者が今考えていること(2)仮想空間としてのメタバース

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 いま、巷間でささやかれているメタバースには、2つの側面があると僕は思います。ひとつは、「インターネット上の仮想空間」という側面。もうひとつは、将来的なフルダイブ(※)を含めた、「人類がいまだ体験したことのない体感デバイス」の発明、開発という側面です。

※仮想空間内に五感を接続してその世界に入り込む技術。 仮想空間内で使用するアバターは現実世界で体を動かすのと同様に自分の意識で動かすことができる。VR技術のひとつの到達点と想定されている。

まず前者から考えてみましょう。インターネット上の仮想空間ということでは、実はこの数十年ほどの間、「セカンドライフ」以外にもさまざまなチャレンジが行われており、そこにはたくさんの失敗例と、成功例とがあります。

インターネット上の仮想空間、しかも「メタバース」という言葉にふさわしいような成功例というと、まず思い浮かぶのはオープンワールドタイプのゲームです。ファイナルファンタジー、モンスターハンターやフォートナイトといった、関銃の人々が同時接続できるタイプのオープンワールド型ゲームは、インターネット上の仮想空間を作った、ということで「メタバース」のひとつの成功例といえるでしょう。

こうしたゲームは、インターネット上の仮想空間を自由に動き回れるということもさることながら、ゲーム内に同時接続した世界中の人々とコミュニケーションを取り、仮想空間内に「社会」を再構築させたという実績においても重要だと思います。

一方、インターネット上の「社会」ということでは、それこそさまざまなSNSがあるわけですが、いま述べた「フォートナイト」や「集まれ!どうぶつの森」「マインクラフト」などによって構築された「社会」というのは、既存のSNSよりもより「メタバース」的性格が強いように思います。それは、これらのゲームが「もうひとつの世界」を提供しているからです。

既存のSNSが基本的には「現実社会の仮想空間への移設」であるのに対して、どうぶつの森やフォートナイトは、まったく異なる社会、あるいは「宇宙」を、インターネット上の仮想空間内に再構築しているという点で、大きく異なります。

では、「メタバースとはどうぶつの森である」と結論づけていいかというと、冒頭に述べたとおり、それは乱暴ですし、メタバースというものの可能性を矮小化してしまうことにもなるでしょう。

少なくとも、メタバースが、これらの既存のSNSやゲームとどう違うのか。そもそも延長線上にあるものなのか、まったく違う文脈にあるのか、ということは、もう少しつめて考えておく必要があると私は考えます。

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