鳥居直介

夜間飛行の編集者。 アイデアを形にする教室講師 https://yakan-hiko.…

鳥居直介

夜間飛行の編集者。 アイデアを形にする教室講師 https://yakan-hiko.com/meeting/idea/ Twitter https://twitter.com/toriinao 夜間飛行(http://yakan-hiko.com/

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  • 編集日記

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  • ものぐさライティング論

    夜間飛行の編集者である私が、私なりの経験からライティングについてまとめています。

  • 編集者がメタバースについて考えていること

    2022年初頭に、メタバースについて考察したまとめです。

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「マンガ新人賞の落選作にありがちなストーリー」の何が問題でどうやったら改善できるんですか問題について

最近、ツイッターのタイムラインで、「新人が描きがちなストーリー」という話題がバズっていました。 たとえばこちら。 ツイートまとめにもなっていますね。 某誌編集者から聞いた「マンガ新人賞の落選作にありがちなストーリー」のことを思い出している。→似た傾向のストーリーが多いらしい。 ここからさらに「SFの新人賞でありがち」とか、さまざまなパターンの「あるある」が、タイムラインで盛り上がっていました。 ここで、編集者の立場として注意喚起したいのは、こうした「ありがち」「ベタ

    • 3月のアイデアを形にする教室が終わりました

      先程、アイデアを形にする教室の、3月のゼミが終わった。 先月の反動か、比較的提出課題が少なかったこともあって、講義部分を長めに取った。ピーター・ティール『ゼロ・トゥ・ワン』や、「ケアをひらく」シリーズなどを題材に、創作やビジネスにおける「枠組みを破る思考」について話をした。 自分としてはとても大事なテーマで、熱量を持って話せたとは思うのだけど、どこまでみなさんに伝えることができたかは、甚だ心許ないところだ。 アイデアを形にする教室の講義は、いつも直前に用意するようにして

      • 白石正明さんが退職する

        白石正明さんが退職する。 といっても、出版に縁がない人だと、もしかすると「誰のこと?」と思われるかもしれない。医学書院で「ケアをひらく」というシリーズ(2024年3月現在シリーズ43冊)を手掛けてこられた編集者である。 ※精神看護2024年3月号は白石さん特集号である。率直にいって頭のおかしい企画だと思う。 1999年、僕は新卒で医学書院に入社した。そこで、白石さんに出会った。それ以来、僕は意識的にも、無意識的にも、白石さんの背中を追い、あるいは白石さんの影から逃げ出そ

        • 受け継ぐということ

          昨日は南青山のジマジンというお店でやっていた、廣木光一バンドのライブに行ってきました。私は2001年から廣木光一さんにギターを習っているので、かれこれ四半世紀近くの弟子ということになる。 コロナ禍を挟んでの久々のライブ。たっぷり音の洪水を浴びて、帰宅してから、なんとなく頭に浮かんだフレーズをギターで弾いてみた。そしてぼんやりと、「受け継ぐ」ということについて考えてみた。 私のギターは下手の横好きレベルで、廣木さんからしてみれば不肖の弟子以外の何者でもないと思うのだけど、そ

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          「原作レ◯プ」はなぜ起きるのか? 編集者が解説します!

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          夜間飛行では「企画・編集職」の正社員を募集しています

          いま、弊社、株式会社夜間飛行では、企画・編集部門の社員を募集しています。 弊社は2012年の設立以来、「新しい出版社」という理念のもと、通常の出版だけでなく、メールマガジン、オンラインサロン、通信講座、スクール、アパレル、スポーツジムなど、多岐にわたる事業を展開してきました。 全社員で10数名という小さな所帯ですが、現在も、既存事業の拡張に加えて、新しいアプリ企画や商品開発企画など、新しいチャレンジを続けています。 今回の募集は「企画・編集」職という、弊社の中核となる社

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          アイデアを形にするための企画思考について解説します

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          汚れたものを焼き払ったあとに何が生まれるだろう?

          僕が子供時代を過ごした80年代の京都では、まだ「空き地で遊ぶ」という感覚が残っていた。空き地には乾燥してガビガビになって劣化した成人向け雑誌や空き瓶、もはや正体不明となった家電の残骸が散らばっていた。 遊び場所としては危険だし、教育的要素はゼロ(に見えるだろう。少なくとも、今日的視点では)だったけれど、あの頃の光景は、今でも鮮明に思い出される。 空き地の脇を流れる用水路なのか、ドブ川なのか、そういう場所も遊び場だった。川は生活排水で汚れていたけれど、汚れた川の中では、たく

          汚れたものを焼き払ったあとに何が生まれるだろう?

          誰でも「おもしろい文章」を書けるようになる考え方

          アイデアを形にする教室には、小説や脚本を書きたいという方や、自分の教育メソッドを言葉にしてまとめたい方など、「文章の書き方」を学びたいという方がたくさんいらっしゃいます。 10月末には特別講座をやることにもなっているので、少し、「おもしろい文章」を書くためのポイントをまとめてみたいと思います。 ロジックを整理する 「おもしろい文章」の最小構成要素。それは「ロジック」です。 ロジックとはなにか。それは「AはBである」です。簡単ですね。 「なぜなら」「それゆえに」「その

          誰でも「おもしろい文章」を書けるようになる考え方

          受験戦争

          平日昼下がりの喫茶店は、それなりに混雑していた。パソコンを開いて仕事をしている若い男性。噂話に興じる女性グループや、文庫本を読む中年男性といった客層の中に、いつもは見かけない、小学生らしい男の子と、その母親が丸いテーブルを挟んでいた。細身の男の子は、薄緑色の表紙の薄い冊子のようなものを広げ、その前で首をひねっている。母親は少しカラーリングの入ったショートボブの、若く見える女だった。 見るともなく、その二人のほうに目を向けると、2人の会話が耳に入ってきた。 「……そうじゃな

          『君たちはどう生きるか』から創作におけるテーマとディティールの関係性について考えてみました

          「正しい解釈」などない 宮崎駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』について、まとめてみます。 私が観たのは、公開から約1週間のタイミングでした。今日時点になると、さすがにちゃんとしたレビューもぼちぼち出てきていますね。また、新作公開記念でテレビで『もののけ姫』が放送されたこともあって、宮崎駿監督のクリエイト全般も含めた考察や分析が、ツイッターでもいくつか見ることができます。 皆さんはそれらも含めてご覧になったでしょうか? 参考になるもの、違和感のあるもの、いろいろある

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          「停滞」を乗り越えるためにあなたができること(執筆・創作・企画)

          原稿が行き詰まる。考えがまとまらない。いいアイデアが降りてこない。 小説やマンガなどの創作はもちろん、仕事で企画を考えなければいけないときも、どうしても頭の中がぐちゃぐちゃになって前に進まないことってあると思います。 ここでは、編集者として20年以上仕事をしてきた私のノウハウをシェアしたいと思います。自分に合っていると感じた方法があれば、使ってみてください。 別のタスクに移る 企画を考えるのであれ、文章を書くのであれ、リサーチであれ、それが行き詰まっているなと感じたら

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          SNSのアルゴリズム変化を理解して、これからの時代の「売り方」を考えよう

          6月の末に、アイデアを形にする教室の特別講座「ウェブ時代の「売り方」講座」をやることが決まったので、久しぶりに、自分の業務範囲を越えて、さまざまな業界の「売り方」のトレンドを調べています。 もちろん、「売り方」の根本の考え方は変わりません。ドラッガーの教えが今でも十二分に有効であることからもわかるとおり、マーケティングの基本的な考え方は、数年単位で変わるものではありません。でも、やはりトレンドというのはあるんですよね。 私自身の業務範囲でいうと、SNS上の告知効果は、tw

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          『街とその不確かな壁』は駄作か、集大成か

          村上春樹さんの新作長編『街とその不確かな壁』を読み終わりました。最後の最後までドライブ感たっぷりの読書体験でした。 以下に、いまの時点の雑感をまとめます。もう少しまとまった、編集者視点の記事は、アイデアを形にする教室内でお伝えしようかなと思います。 すでに多くの方が言及されているように、今回の作品は、これまでの村上春樹の作品世界の延長線上で展開されています。よく言えば「集大成的作品」であり、悪く言えば「過去作の焼き直し」と言えるかもしれません。 ただ、村上さん自身があと

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          99%の人が知らない「おもしろい」の作り方

          「おもしろい」の作り方は言語化されないアイデアを形にする教室の講義資料を作っていて、気づいたことがあります。それは、「多くの人は、<「おもしろい」の作り方>を知らない」ということです。 小説や漫画、映画はもちろんツイッターやyoutube、tiktokでもバズりには、一定のノウハウがあります。「一発当てる」だけならともかく、コンスタントに数字を出す人たちは、必ず<「おもしろい」の作り方>を知っています。 ただ、このノウハウは必ずしも言語化されているわけではありません。本人

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          AIは○○を持つことができるか? chatGPTの可能性と限界

          ここ数年、AIがさまざまな分野で話題になっています。昨年リリースされたmidjorneyが先鞭をつけたお絵かきAIの分野は、すでに身近なものとなってきます。そして、今年に入ってからは、chatGPTが話題をかっさらっています。 先日のアイデアを形にする教室でも少し取り上げましたが、これからのビジネスにしても創作にしても、AIの進化抜きに考えることは難しいでしょう。 ここでは、編集者としてのぼくの現状認識と今後の予測、現時点での取りうる戦略について書いてみたいと思います。

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