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農業素人の私の元に救世主現る!!

旅館の若女将で、農業経験のない私がいきなり「温泉水で野菜を作る、農業をはじめたい」と言っても、当然のことながら「何を言っているの?」と思われるのがオチです。前例がない、農業経験がない、農家でもない、農地もない、そんな私がある方との出会いで温泉栽培への道が見えてきました!

温泉水を農業に活用できないか?

3.11をきっかけに「サービス業だけで今後事業として成り立つのか」と不安にかられました。「何か地域資源や経営資源を生かすことで突破口が開けるのではないか」とひたすらネット検索をし、辿り着いたのが【農業全書】『農業全書』(のうぎょうぜんしょ)は、元禄10年(1697年)刊行された農書で出版されたものとしては日本最古の農書と言われています。「海水の農業利用」の記述があるのを見つけ、「海水が使えるなら、ひょっとしたら塩分が含まれているうちの温泉も農業に使えるかも知れない」と思い始めました。そこで農業試験場やJAなどに温泉の農業利用について聞いて回ることにしてみたところ・・門前払い。

「温泉を使って野菜を作りたいんです。海水を使ってみかんが甘くなったとかナスが美味しくなったという文献があるんです」そう話しても、前例がない、と誰も取り合ってくれませんでした。そんな時、焼津市の産学官連携相談会があることを知り、ダメ元で静岡大学へ相談に行ってみることにしました。

静岡大学農学部教授との出会い

相談会でコーディネーターの方に今までの経緯と、思いをお伝えしたところ、静岡大学農学部の糠谷教授をご紹介してくださいました!(現 農学部・名誉教授)あちらこちらで「前例がない」と言われてきたので、今回も無理かな・・・と思っていた私に糠谷先生は一言。「できるよ」と。暗闇で光が差したような感覚を今でも覚えています。

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ここから本当の意味での私の挑戦がスタートします。糠谷先生のもと、温泉水を使ったトマトの栽培を実現するため、試作研究から実際の研修まで・・旅館の仕事をしながら農業に関わるという事がどれだけ大変か、身をもって経験することになります。

温泉水の可能性を信じて

全国の大学や研究機関では温泉水を使った農業を研究はしていたものの、実際にど素人が温泉水を使った農業をし、それをビジネスとして成り立たせるというのは全国初の試み。 糠谷先生にそう言われ、その難しさを改めて感じると共に、温泉の新たな可能性にワクワクしました。入浴以外の温泉の価値を見出したい!! 今も私の根底にあるこの想いが、大きな力になっているのかもしれません。師匠との出会いで農業の道を一歩踏み出すことになりました。


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