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世界2.0 , お金2.0 | 佐藤航陽

ここ最近Web3.0やSociety2.0など、物事のバージョンアップを示唆するような「名詞+n.0(nは自然数)」の用語をよく見るようになった。
そんななか、Audibleのおすすめに今回紹介する本の著者である佐藤航陽さんの「世界2.0」「お金2.0」があったのでまとめて読んでみた。

「世界2.0」はこれから確実にくる技術革新であるメタバースの紹介と、メタバースが拡まったネット社会での人々の生き方を考察している。
「お金2.0」では、経済の基礎的な構造の説明と、現在の資本主義の仕組みが崩壊しかけている社会がこれからは価値主義に移行していくことを示唆し
、価値主義の社会で適応する考え方を紹介している。
どちらもこれまでの世界が次のステップに変革しつつあることを説明しており、ワクワクして読み進めることができる。
メタバースが社会に浸透すれば、これまで以上に物理的な距離や国籍、年齢、性別は関係なく人々が交流する世界が広がる。
価値主義が浸透すれば、老若男女全ての人物が何かしらの専門家になる必要が生まれる。
全ての人が現実世界の所属に関係なく、個人と個人として付き合える社会は、私が理想とする社会に近い。未来が楽しみとなる良書だった。

「世界2.0」の第1章で、「デジタルネイティブが老害となる日」という項目があった。
私は1996年生まれのデジタルネイティブ且つZ世代なので、まだ時代の最先端に近いところにいる自負がある。そのためこの文言にはドキッとした。
これから一般化されるであろうメタバースは今の子供世代、特に2010年代生まれ以降の子供たちにとって当たり前となるコンテンツである。彼らが20代の時私世代は40代に近い。私世代がスマホやSNSで親世代に訳わからないと言わせていたのと同じように、私たちはメタバースを恐れる可能性があるということだ。
老害になりたくない!常に時代の最先端に触れていたい!と読み進めていると、ありがたいことに未来を予想する方法はちゃんと書いてあった。
曰く、「子供の遊び方は未来のあり方」(序章より)である。
子供が興味を持ち遊ぶ対象を見ていれば、彼らが20代になった時に当たり前に用いるテクノロジーを知ることができるらしい。
これを読んで、老害を回避するために早速子供を観察しようと研究室のスタッフのお子さんと遊んでみた。

観察したのは現在7歳の小学2年生。
最近は何をして遊ぶのが好きなのか聞くと、したり顔で出してきたのはiPadとレゴで作ったロボットだった。
なんとこのおもちゃ、iPadに入れた専用のアプリで構築したプログラムをレゴで動かしているものだという。
そういうおもちゃがあることにまず驚いたが、最も驚いたのはそのアプリである。
アプリは大人向けの細かい説明文が全て英語であり、バックグラウンドの音楽も洋楽であった。しかし、子供が操作する部分は言語が一切使われておらず、全て3Dモデルとイラストのみでプログラミングの詳細、使いたい機能に合ったレゴの組み立て方、トラブルシューティングなどを視覚的に説明していた。
プログラミング言語も、文字や言葉としての言語も存在しないそのおもちゃからは確かに未来のあり方を垣間見えた。

そのおもちゃと同じものは探してもわからなかったが、以下のようなタイプだった↓

プログラミングロボットで遊ぶ子供を見て、1990年後半から2000年台生まれの学生たちの反応は綺麗に2つに分かれた。
一部の学生は、自分には訳がわからない。今の子供はすごいなと距離を持って接しており、他の学生は面白そうなのでやらせてほしいと具体的に興味を寄せた。旧帝大の理系院生であっても一定数は忌避しようとする人がいることに驚いた。前者は老害になるのかもしれない。

今回紹介した2冊の本は、未来のあり方の可能性を具体的に示し、それに対応する新しい価値観のあり方を教えてくれる本である。
実際に佐藤さんが紹介するような社会になるかはなってみないとわからないが、どのような社会になっても否定せず、受け入れていきたいと強く思った。


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