見出し画像

#1 心恋

【心恋(うらごい)】 心の内で恋しく思うこと。

「月が綺麗ですね」が「好き」という意味だと知って、素直に月が綺麗だと思ったときはなんて言えばいいんだろう?

 昔から短歌や俳句で気づいてくれたらいいな、気づかないとそれはそれで寂しいなとおもいながら紡いでいった言葉たちが、今では素直さを阻害しているような気もする。ストレートに伝えることが恥ずかしいって、もったいない。

 小説家、詩人、もっと身近な人で言うと、コピーライターの先輩たちが紡ぐ言葉がとても好きだ。感情や行動、情景や文字自体をどう表現するかによって大切にしてることが伝わってくる。並べられたその言葉がスッと心に入ってきたとき、その一文字一文字がとてつもなくピュアに見えるときがある。圧倒的な言葉の知識はさておき、なんでこんなにしっくりくる言葉を並べられるんだろうとすごく嫉妬してしまう。私も、そんな綺麗な言葉が並べられたら。

 I love you. をどう訳すかを、確か高校生のときに友人たちと議論したことがある。そう、そのときに月が綺麗だといった彼の言葉を知って。その時は確か「私を離さないで」とか「さよなら」とかだった気がする。切ない系にしがちだったなー。小説家で好きなのは江國香織氏と太宰治氏の訳し方。実は2冊とも読んだことはないけれど、有名すぎるがゆえに私の耳にまでなんなく届いてきてしまった。

さようなら。もうお目にかかりません。でもすこしだけ、誰かのものになれてうれしかった。 ー 江國香織『ふりむく』より

もう一度お逢いして、その時、いやならハッキリ言って下さい。私のこの胸の炎は、あなたが点火したのですから、あなたが消して行って下さい。私ひとりの力では、とても消す事が出来ないのです ー 太宰治『斜陽』より

心がキュゥってなるな、もう。お二人ともとても好きです。ちなみに、調べてたらこの2つも入っている本を見つけたからリンクを貼っておきます。

ちらりと中身がみれるんだけれど、好きを伝える言葉はどんな言葉でも好きが溢れていて顔を手で覆いたくなるな。指の間から見ちゃうけど。今度本屋で探してみよう。

好きだなと思っていただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。