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月曜日の朝食会 まるで泉が湧いているように見えた鮮やかな白菊も、裾のほうから紫に染まり…
しゅんしゅんしゅん ある朝、路地の北角、北村さんの家の前に大きな菊の鉢がずらりと並んだ…
トタンの壁、金木犀の壁 十月の町。 夏の間に伸び放題だった垣根や庭木の剪定に、庭師が…
はぶらし 葉子は掃除機が嫌いである。だからといって掃除が嫌いというわけではない。 た…
Tatoo お盆を過ぎ、午前六時には涼やかな風が葉子の頬や腕を撫でていくようになった。…
街に、黄色 葉子が彼女の存在を知ったのは三年前、父が腎臓の具合を悪くして入院した時だっ…
背中 花曇りの月曜日、亨さんを送り出してから散歩をした。 お気に入りのコースがあって、それはとても狭くてぐねぐねと曲がりながら続いていく道。それはカーブの先に必ず花の咲く木があるから。まず大きなミモザの木がある。近所で春の到来を宣言するように咲くのがこの木だ。鮮やかなレモンイエローには毎年はっとさせられる。次のコーナーにはほとんど同じ頃に咲く梅があり、その下には水仙がある。 ミモザの花はとうに終わって、緑の葉が旺盛に繁りだしていて、梅にも新しい葉がでていた。梅の向
日曜日 いつの頃からか、季節の変わり方がとても乱暴になった気がする。 「大陸」に住…
爆風 一月の静かな朝、街を冷たい風が吹き抜けていく。 橋の欄干の上に、とても痩せた一…
あかるくて、洗われていて 葉子にとって年末の用意は関東屋の白みそとと播磨屋の丸餅を買う…
マリア 「スズキミツエさんをお願いします」 振り絞るような老人の声がまた電話口から聞…
Here,there and everywhere 十一月のはじめ、秋がようやく深まりはじめたある日の夕暮れの…
石鹸 月曜日午後六時。 亨は今日の仕事をもう一度振り返った。 大学の駐輪場の中央…
プロローグ#2 届けを出す日 いきかう人たちの眼の焦点は もっと遠くの空にあっていて 「いい日やね」 「これぐらいの寒さやったらね」 しわす走のろーじは少し賑やか やきいもの匂いが漂って 「きいて。 わたし 焼き芋にマヨネーズつけて食べんねんよ 変?」 いいやん 変やないよ もう ぼくかて君とおんなじになるよ きっと やらないでいたことの できる日 きみの歩く姿勢はまっすぐで ためらう理由のないふたりは早足になる てのひらの熱 そのまま握りしめて 目次 ●表紙絵