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「値下げの種類」を増やして安売り中毒を防ぐ

セール企画・ポイント倍付けには中毒性がある

ネットショップにとって、セール企画や、モール内の「ポイント倍付け」企画は、諸刃の剣です。うまく使えば有効ですが、中毒性があるからです。
店から店へと移動しやすいインターネットの特性上、安い店には実店舗以上に人が集まるので、購入客を一気にふやすことも可能です。しかし、連発していると「中毒」になる恐れがあります。

これらの企画にユーザーが慣れてしまうと、「お得な時だけ買えばいい」と、通常価格に戻った時に「買い控え」が発生する。平常時の売上が落ち込んでしまい、それを取り戻すためにまたセールやポイント倍付けを行って、差し引きで見れば結局損をしているという中毒症状は、多くの店で見られます。しかも、価格のインパクトは徐々に薄れ、マンネリ化していくので、安売りの際の反応もだんだん落ちていきます。かといって急に安売りを止めると売上が落ちてしまうので、現状をズルズル続けることになります。これが中毒症状です。
この記事では、この「安売り中毒」を防ぐための工夫を紹介します。


同じ値下げ幅でも「違うイベント」に見せる

ユーザーに買い控えが発生する理由は、安く買う嬉しさよりも「安く買えない悔しさ」の方が強いという心理にあります。頻繁にセールを開催する店を見ると、誰でも「(安くなるものを)普通に買うのはもったいない」と思ってしまいます。この状況を打開するには、真新しさとお得感を提示して、買い控えユーザーを動かす必要があります。具体的には「『値引きの種類』を細かく変えて、毎回違うイベントのように見せる」ことを勧めます。そして各イベントの「今だけ感」を演出することにより、「せっかくだから今買おう」と認識してもらうのです。

例えば「10人に1人がタダになる」イベントを開催すれば、店側の値下げ幅は基本、10%オフと同じです。しかしこれを期間限定にして、タダになった購入客の喜びのコメントを交えて、メルマガと連動させながら展開すればイベント感が強く出るので「せっかくだからイベント期間中に買おう」という心理も働く。
「クリスマス企画!女性限定〇%オフ」「ボーナスはでたか!まとめ買い祭り!1万円以上買えば1000円引き」など、企画内容や見せ方はなんでもいい。毎回毎回の理由付けや演出をきっちりやれば、わずかな値引きでも十分購入動機になるのです。


値下げの例


「対象者を限定」と「購入商品を限定」

例えば、先ほど説明した「10人に1人がタダ」や「女性限定〇%オフ」は対象者を限定して値下げする形です。逆に「惣菜だけ半額」「1万円以上買えば1000円引き」など、購入商品や購入額を限定して値下げする形もある。セールの「期間限定」はよく見かけますが、このような形での限定は、売りたい商品や客層に絞ってセールを仕掛けられるので大変使い勝手がいい。
その時々で限定対象を変えていけば、毎回違うイベントとして演出できる。

「均一セール」と「予算提案型」

100円ショップで「どれでも100円」というとついつい買ってしまう人が多いように、例えば「3000円均一セール」など「わかりやすい価格」は不思議とお得感が出る上、商品選びが楽になるので購入率が上がる。均一価格が難しい場合は「1万円以下で買えるお洒落インテリア特集」「8000円以下のプチプラジュエリー特集」などの「規定額の予算の中で選べますよ」という提案でもいい。価格はわかりやすいし、安心感を与えることもできる。応用パターンとしては、「選べるセット」と称して、「この中から自由に選べます、どれでも3つで1万円」という形もある。単価も上がるし、高粗利商品を混ぜておけば利益率も上がるでしょう。

「ついで買い」と「まとめ買い促進」

「まとめて買えば安いですよ」という提案は、値下げしつつも客単価が上がるので、粗利額を減らさずに済む。例えば「2パックの価格で3パック買える」「2着目1円」「2個買えば送料無料」などです。在庫処分にも最適です。在庫を増やさずに高単価商品を作るなら「当店自慢のランキング入賞商品がすべて入って〇円」というセット企画を勧めます。福袋もこの一種です。このゲーム機を買ったらソフトが必要になることから、あらかじめ「ゲーム機本体+ソフト」のセットを作るなど、「ついで買い」型の商品提案もいい。「ご飯と漬物」「ワインとチーズ」など、この商品にはコレ!と、商品選びを代行したセット商品もいいでしょう。

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