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「カルテット」から学ぶ夫婦関係

TBSのドラマ「カルテット」で、松たか子とクドカンが夫婦役をしていた。

夫婦の映画の趣味が合わない。夫が妻に映画を解説している。

そして、検査の結果、子どもが授からないと分かる。

それでも、お互い恋人のようにいつまでも続くと思っていた・・・

なんだか自分に重なるところがあると思って、引き込まれて観た。

この作品で描かれているのは、お互いに遠慮をして、関係がうまくいかなくなる夫婦である。

夫に何も聞かず唐揚げにレモンをかけて食卓に出していた妻。

ある時、居酒屋で夫が後輩と飲んでいる場面に妻が遭遇。

後輩が唐揚げにレモンをかけますね、と言うと、夫は

「外で食べるときくらい好きに食べさせてくれよ。レモン、嫌いなんだよね。」

さらには妻の事を、「愛してるけど好きじゃないんだよ」と言っているのを聞いてしまう。

このシーンを見ている時に、夫とつい先日、喧嘩をしたことを思い出した。

喧嘩の理由は本当に些細なことで、夫が、見ていたテレビを突然消したこと。その時、私は、「なんで何も言わないで消すの?生活が自由過ぎない?」というようなことを言ったと思う。

しかしこれに対し、「自由過ぎることはないと思う。俺だって気を遣っていることはある。」との返事。話をよく聞けば、私に配慮をしてテレビを消したという。

確か見ていたテレビの一つ前にやっていた番組で、ペンギンの人工授精をやっていて、私がふと「自分に重なって見ているのが辛い。人工的に哺育をして、子どもは辛くないのかな。」と呟いた。

私は何の気もなしに呟いたことだったが、私がその番組を終わったあとも無言でスマホをいじっていたことから、夫は悲しい気持ちが続いているのかと思い、"これ以上嫌な気持ちにさせないように”とテレビを消したのだという。

私はその話を聞くまで、夫婦(家族)は何でもかんでも話せばいいと思っていた。

思ったことや感じたこと、お互いの価値観を話して、埋めて、何でも言い合える関係の中に、絆が生まれていくと。

女手ひとつで育てられた私は、母とはまさに何でも言い合う関係だった。そういった家庭環境も背景にはあると思う。

ここでもう一つ思い出したドラマに「逃げるは恥だが役に立つ」がある。

契約結婚で、今まで配慮をしていたり、お互いに話し合って何事も決めていた二人だったが、一夜を共にした日を境に、相手の態度が変わってしまった。

これまでの家事に対価を貰っていた彼女が言った、”愛情があれば何でも許してもらえる”というような「好きの搾取に断固反対」という発言が名台詞だったような気がする。

私はどちらかというと、このような「好きの搾取」に近いことを相手にしてしまっていたのかもしれない。相手は自分のことを好いてくれているから、何を言っても受け入れてくれる。大丈夫だろうという過信。

しかし、「親しき中にも礼儀あり」という言葉にあるように、相手のことを慮り、「伝えない配慮」というのも存在するのだと、気付かされた。

そして、相手は自分自身のことを非常によく見聞きしているということにも気づかされた。

自分が一つ呟いたことでも、目の前にいる相手がどう思うかを考えないといけない。

それこそ、「伝えない配慮」というものである。


しかし、夫が私に「遠慮をしているよ!お互いに遠慮していない夫婦や家族なんて、絶対に居ない!遠慮をすることと、自分を押し殺すことは、イコールではない」と断言してくれたことで、「カルテット」のような夫婦にはならないだろうと、安堵した。

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