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EP.008 イタイミナコ / MINAKO ITAI(アート・広島)前編/後編

アーティスト / 憑依芸人(ひょういげいにん)

”1994年福岡県で音楽家と地質学者の間に生まれる。さまざまな土地に入り込み人々の憑依をしながら風土のアーカイブとその伝承をしていく活動をしている。”

keyword 前編
出会ったきっかけ.   サイバー獅子舞DJの誕生.   獅子舞おじいちゃんとの出会い.   基町文化圏.   文化がまたはじまる瞬間.   おじいちゃんを憑依する.   なりきって話すとちゃんと伝わる.   円滑なコミュニケーション.    わたしがその人について伝えたい.   伝えたいがための行為.   模刻.   人への執着.   芯へ向かう動き.   人への憧れ.   わたしのケア.   風土をアーカイブする.   原点は嬉しい.   わたしを通して誰かにつながっていくこと.   音の位置.   声も音.   振動を浴びる.   音楽家と地質学者.   硫黄島とメンドン.   象みたいな耳で目がちょうちょ.   天下御免.   人を超えた未知のもの.   ですです~.   自然の中で創造力を働かせて生きていく.   暮らしの中にある美しさ.   言語が要らないコミュニケーション.   ママディルーム.   ジャンベの部屋に招かれる.   トトントトントン.   トトトトトントトン.   何も語っていないのに仲良くなれた違和感を共有する.   限られたもので豊かに生きる.   振動数を合わせる.   生きやすささえ覚える.   時としてノイズになる言葉.   積み重ねでできた創造性.   所作.   

keyword 後編
伝えることを言葉に頼りすぎている.   伝えたいという人間の根源は喜び.   リアルイタイちゃん.   伝承士.   生活の中に潜む美しさ.   アートを生み出すのはアーティストだけではない.   芸術に成りうること.   考えるよりも先に身体が動く.   わたしがやった行為ってなんだったんだろうか.   探したら絶対にいる.   スノードームに入っているわたしで遊んでみる.   帰還の技術.   一旦終わった文化が帰ってくる瞬間.   眠っているだけで.   なんかすごいものを見つけちゃった.   掘り起こす.   同時多発ではじまった.   ピリオドをしっかり打って終わる.   気にしないと気づかないことに気づいちゃった人たち.   どうやってモニュメントを美しく終わらせられるか.   終わりゆく瞬間と再びはじまる瞬間.   周波が出ているのかもしれない.   見つけちゃえる人が現れる.   色んな終わりを見ている時代.   出会い直す.   文化が溜まっていく土地.   横川の歴史.   眠っているという解釈.   ざわざわ.   静かなる爆発.   それだけが美しいだけじゃない.   すごい!と大声で言いたい.   自分の虚しさの理由がそこにある.   おもろ状態.   気づかなかった気づき合い.   文化がはじまる匂い.   はじまる予感.   みんなの生活の隣でざわざわざわざわ. 

--miyabi
収録のときのことを振り返っていたら、命がほとばしってるかのようだったなぁ。と。話を聞くと、その場にいるかのような情景がどんどん浮かんできて。間接的にでもそんな体感だから、イタイちゃんの中には、もっともっといろんなものがあるんだろうな。そして、全体的に綺麗とは別の意味の「美しさ」を感じたよ。

--ayako
分かります!イタイちゃん自身の内から溢れてくる生きた美しさというか、喉だけで声を発してるのではなくお腹の深い深いところから放たれているというか。喜ぶってこういうことなのか!と思いました。楽しいを超えて喜びを感じた時に人はそれを表現したくなって、例えばそれが歌になったり踊りになったり祈りになったりするのかなーと。

--minako
ありがとうございます!!
美しいものをみた時に感じる喜びに気づく瞬間ってすごく大事にしてることの一つです。何かが美しくみえる時の一つに、その周りの環境、社会、風土みたいな基礎、軸、みたいなもののがあって、それに紐付けれた瞬間な気もしています。

たとえば、、、
森の中で光の筋がキラキラみえたとき、衝撃的なワンシーンに感動をおぼえる。

それが太陽の光で、空気の粒水蒸気の粒や虫の粒、花の粒、土の粒いろんな微生物の粒々の反射だったこと、それはいろんな死骸から出来上がったものだったりする。

そんないろんな重なりがあの衝撃的なシーンが美しさになる。とゆうような感じですかね、、

情景がめちゃくちゃわたしにとって大事だ!!とゆう話です。

--miyabi
なるほど。何でイタイちゃんにしか伝えられない表現のように感じたのかが少しずつ見えてきたような気がする。

近内悠太さんの「世界は贈与でできている」の本の中に、シャーロックホームズの「ボヘミアの醜聞」の一節が紹介されているんだけど。

そこに、「きみは見ているだけで、観察していないんだ。見ることと観察することとは、まるっきり違う。」と。

--miyabi
多くの人は森の中の光の筋のキラキラが綺麗という事実に感動するのだと思うけど。それが何で起きててあらゆるものの重なり合いだってところまで読み解けないと思うの。でも、それって観察力でもあり、想像力でもある。

グググっと解像度を上げていくと、世界にはとっても豊かで美しいものがたくさんあるのかもしれない。それに気付けることもすごいし、表層的で中身のないもので伝えるのではなくて、ちゃんと質量のあるものとしと届けようとしていることがエネルギーの迸りに繋がっているのかもしれない!

--minako
そういえば、、
観察者でありたい!と言う意識を持った時に参考にした本が何冊があります。マルセルモースの贈与論で、贈与によって社会構造を活性化させる方法を論じてる本なんです。

後ろめたさの人類学ってゆう本も好きです。

「世の中どこかおかしい。なんだか窮屈だ。そう感じる人は多いと思う。でも、どうしたらなにかが変わるのか、どこから手をつけたらいいのか、さっぱりわからない。国家とか、市場とか、巨大なシステムを前に、ただ立ちつくすしかないのか。(略)この本では、ぼくらの生きる世界がどうやって成り立っているのか、その見取り図を描きながら、その「もやもや」に向き合ってみようと思う。」 ――「はじめに」より

和辻哲郎の風土もあります!スノードームの話も和辻哲郎の風土からきてます。

--ayako
贈与論の話は、谷村先生の回でもキーワードとして出てきましたよね。言葉って、概念化させるにはとても便利だし、概念化させることによって分かること救われることもあると思います。感覚でキャッチしちゃう人種にとっては「私の言いたいことはそれだ!」とスッキリすることも多々ですが、

一方で、概念が当たり前になってしまうと、いつのまにか大きな仕組みに巻き込まれてしまう。だからこそ、実は日々起きている小さな変化に気づくこと、むしろ変化していないことなんてないのかもしれない(髪も毎日伸びてるし、しわも毎日増えてるしね笑)

そういう意味で、観察者であることって改めて大事だなと思いました。

--ayako
最近、立ち読みしてて、あっ!と思ったフレーズがあって、

「言葉は物事の論理的思考を加納にする力を持っていますが、生の感情のなかに潜む機微は、書かれた言葉よりも発音される声のなかにより多く存在します。「ありがとう」という言葉は感謝を意味しますが、それを音として発音すると、どういう状況での感謝なのかが、より明確になります。音楽が、人種や国籍を超えて理解される世界共通語だという理由も、そこにあります。初めに、”言葉ありき”というより、”音ありき”だったという事ですね」

プラスして、友達と話してて面白いなと思ったのが、日本人はなぜマスクを外さずに生活をつづけられるのか。彼曰く、日本人は「目」を見て話をしているそうで、欧米は「口」を見て話をしているんだと。表情の変化を「目」で判断する日本人にとって、口の動きはさほど必要ではないらしいよと言ってて、

確かに「相手の目をみて話なさい」と子供のころから言われてきたし、目で会話することも、ある。音も目も、言葉以上にメッセージを発しているのかもしれません。

--miyabi
最近感じている違和感として、表層的なビジュアルに先に目がいっちゃって、本質が見られていないような。ビジュアルも言葉もある意味伝えるための手段だ。

そして、わかりやすく伝えることって大事なんだけど。一つの言葉や表現では伝えられない、共有しきれない。それは、受取手が同じ言語を持っていない可能性があるから。(同じ言葉を喋っていても必ずしも同じ意味を認識しているわけではない)受け取った言葉に、みんな自分の中のイメージを重ねるんだ。

--miyabi
情景をモデリングして表現する行為って、温度感があって、五感で伝わっていく表現な気がしてて。誰かと一緒に何かを取り組んで感動したそのひと時とか、言葉無くして共有できた感情、シンパシー。ある意味、イタイちゃんの表現は、伝承でもあるけれど体感の共有でもあるから。その『行為』そのものに興味があるよ。

--ayako
たしかに、行為そのもの。
だからこそ熱エネルギーを帯びてるんでしょうなぁ。

--minako
簡単に言えば日常あるあるネタなので、そこの風土に住む人しかわからないみたいなことがおこっています。

--minako
私の行為は
アクション
マッチング
ディグ
アーカイブ
の4つの流れかな?って最近思っています。

--minako
私はこれを全部合わせてちょっと前まではリサーチっていってたんですが、父がプロのリサーチャーでその姿をみてると、なんだか違う気がするなぁとおもってて

ツーリズムと呼ぶことに、、しよっ、、かな、、、。みたいな感じで、でもまた行為を続けているうちにぴっっったりな言葉がでてくるかもしれないっす。

--ayako
ツーリズムって、イタイちゃんの感覚としてはどんなニュアンスなのですか??

--minako
適当なリサーチという感覚です。
私にとってここで使う適当とは、性質・状態などにちょうどよくあったとゆうような感じでしょうか。リサーチって何かしらの専門性や、手法、ルールの中でおこなわれたものだとおもっています。

--ayako
なるほど!私たちはすごく感覚的にイタイちゃんがか発せられる表現を受けとっているけど、イタイちゃんがインプットするときはもっともっと細やかな粒度で情報をモデリングしているんだね!

--miyabi
面白い!イタイちゃんを観察していたいよ。

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