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便利な世の中になったなあと思ったら、思い出してほしい

高校時代、期末試験が終わったその足で
電車乗り換え駅にあるレンタルショップに向かった。

勉強を頑張ったご褒美に、と
ONEOKROCKとRADWIMPSの新作のCDをお小遣いで借りた。新作だからすでに先に借りている人がいると悔しくなったけど、今回は借りれた!ラッキー

家に着いて制服から部屋着に着替えたら、iPodに曲のデータを入れ
少し端のへたった歌詞カードを目で追いながらそれを堪能した。



大学時代、新しく知り合った同級生から刺激を受けて
またレンタルショップ(正確に言えばTSUTAYA)に向かった。

トワイライトシリーズ
バタフライエフェクト
LEON
高慢と偏見
Begin Again
etc…
旧作のDVDは安いから、まとめて3泊4日で10枚借りた。
夕方から夜中までぶっ通しで鑑賞して、翌朝には大学で友人とその映画について話が弾んだ。


レンタルするかどうかは抜きにして、もっと色々見たいなと思って
毎週のようにお店へ通い、今月の人気作品をチェックして、全部の棚を舐め回すようにジャンルを開拓していった。


社会に出てから、サブスクリプションというサービス形態が普及した。
音楽配信も動画配信もサブスク利用して以来、あのレンタルショップには一度も行っていない。


もうDVDの裏表紙を見なくても、あらすじも監督の名前も作品時間もボタンひとつで分かるし、自分で探さなくても「あなたへのおすすめ」で大体興味がありそうな映画が出てくる。
わざわざレンタルショップで作品を開拓しなくても、画面上で配信されている何万もの作品から選べばいい。


お店で借りた帰り道の「何から見ようかな」というワクワク感はもう何年も、味わっていない。
当時付き合っていた恋人と、レンタルショップをデートスポットにしていたことも自然と忘れてしまう。


便利になって失ったもの
便利になって得たもの

不便さの中にあった、あのときめき。


時々、思い出したい。


「私は/俺は、便利を選択している」







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