デジタルツインと未来型電子文書

最近、「デジタルツイン」という言葉を耳にするようになってきました。
Gartnerが発表した「2019年の戦略的テクノロジー・トレンドのトップ10」(https://www.gartner.co.jp/press/pdf/pr20181031-01.pdf)において、
企業や組織が調査するべき最先端の戦略的テクノロジーの1つとして紹介されているのが、「デジタル・ツイン(Digital Twin)」です。

「デジタル・ツイン」は、IoT(モノのインターネット)の普及とAR/VR(拡張/仮想現実)技術の発展により注目され始めた概念で、
現実世界に存在するモノを仮想空間に忠実に再現した動的な仮想モデルのことを示します。

IoTの普及により、現実世界を忠実にサンプリングしたデータがリアルタイムで自動的に収集され、5Gのような高速なネットワークを通じて即座に仮想空間に反映されることにより、現実世界のモノと仮想空間の融合を実現することができるようになりました。
また、逆に仮想空間で発生した事象も、現実世界にフィードバックできるのも「デジタル・ツイン」の特徴と言えるでしょう。

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電子文書とは、電子的な手段によって作成された文書情報(コンテンツ)です。
ボーンデジタルとも呼ばれます。紙をスキャンして作成した電子化文書と対比して、最初から電子データとして作成されたコンテンツという意味です。
生まれながらにして電子データなんです。

電子文書は、コンピュータ内に何らかの内部的な見えない形で存在し、最終的な出力は常に紙に行われていました。
ワープロも紙に印刷するために作られたような装置です。

しかし、コンピュータやネットワークの発展と共に、紙に印刷された文書よりも電子文書の方が転送や配布が容易で利便性が高くなっていきました。
さらにディスプレイ技術の進歩により、人間が文書を参照するのも、紙に印刷するのではなくディスプレイに表示させて見ることができるようになりました。

紙の節約とか、印刷文書の保管場所の節約とか叫ばれ、ペーパーレス時代となったわけです。
しかしながら、e文書法や電子帳簿保存法の改正や、電子文書を取り巻く技術環境が整い、官公庁や民間企業でもペーパーレスの取り組みが繰り返し行われてきていますが、 まだまだ紙を使用するシーンはなくなりません。

また、電子文書が普及を続けていったとしても、文書を表示するのはディスプレイ(タブレットやスマホなどのデバイスも含む)という状況は依然として変わりません。

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そこで、デジタルツインの考え方で、実際に存在する紙文書や、電子文書を仮想空間上に再現出来たらどうでしょう。
ディスプレイに表示された電子文書を現実世界としましょう。
これをデジタルツインに置き換えると、仮想空間上に再現された電子文書が存在することになります。

この電子文書は、仮想空間上に存在しますから、ディスプレイのような制約はありません。
例えば、タブレットのような重いデバイスを持つ必要もありませんし、タブレットやスマホのように狭い表示範囲に縛られることもありません。

紙のように複数ページを机の上に並べることも可能だし、プロジェクターのように目の前に拡大して表示することも可能です。
これまでの電子文書のように。忠実に紙を再現するという考え方はもう古いですね。

また、ページをめくったり、拡大や並べ替え、付箋やマーカを付けたりなどの操作は、ジェッシャーで行ったり、仮想空間内のAI駆動型の自立アバターにやってもらったりと、その使い勝手や演出は、これまでの世界とは全く違います。

紙の世界よりも、これまでの電子文書の世界よりも、全く違う体験したことのない世界が広がるでしょう。
株式会社ぴやまるは、デジタルツインx未来型電子文書を創造し、新しい体験を提供します。

2019年7月26日
株式会社ぴやまる
島 浩章

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