塔のような図書館を訪れて
それは博物館のようだった。古めかしく、かつ強く立つそれに見惚れてしまう人も少なくないだろう。
洋風の建築で、中世を彷彿とさせる。地面からだんだんと鋭くなっていくそれはまるで塔のようだ。
ここはヴィリオ図書館。見た目は先述した通り、博物館のようなのだが、ここに置かれているのは資料ではなく、本。絵本ももちろん貯蔵されており、子供だって利用する。
扉はギィーと押していくとともに鳴る。なかなかに重い。それも昔を残した良さではあるのだが。
この図書館は約200年前に建立された。この国では初めての国立図書館である。
中には壁一面に本が並べられている。辺りを見渡しても本だらけ。どこを見ても本だらけ。読書家からすれば宝庫である。
真ん中にはカウンター。そして、それを取り囲むように螺旋階段が回る。
そこは赤く照らされていて、落ち着けと言わんばかりの雰囲気である。このような場所に来る人物は基本落ち着いているとは思うが、子供でさえも静まりそうだ。
こんな図書館で難しい本を読むのが似合うのであろう。かっこいいだろう。しかし僕はそんな本を読める知能ない。そもそも読書家ではないのに、雰囲気に釣られてやってきてしまったのだ。
とりあえず本を探すふりをしながら図書館を探索してみる。ご丁寧に白の看板に黒の文字で数字と種類が書かれている。実際は本を探しているわけではないので、今回は用はない。
二階は一階より少し狭めだった。外観からしてわかることだが、ここは塔のように上に行くほど鋭くなっていく。狭いのは当たり前だ。
ここは紙の資料がたくさん並べれている。すべて手に取って見ることができる。学生がちらちらと映るのはレポートを書くためだろうか?
三階は関係者以外立ち入り禁止らしい。ポールとポールの間に紐があり、その紐に紙がぶら下げられている。仕方ないので、階段を下っていく。
本はこれっぽっちも読んでいないが、雰囲気は好みそのものだった。ドンピシャだ。暖色に光る照明もその雰囲気を手伝う。
ギィーと重い戸を開け、少し離れた場所からカメラを構える。
パシャリ。一枚の写真に残して。
うん、ここお気に入りだな。
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