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休職した私は、東京でやっと息をした

11月の終わり、人生ではじめて休職をした。

もともと心身の波がありながらも新卒からずっと仕事をつづけてきて、自分でもよくやってきたほうだと思う。それが、難しくなってしまった。
休んで良かったと思う。休まなければもっとだめになっていたと思う。でも、休まずに笑顔で働けていたなら、もっとよかった。
考えないようにするのがいいのはわかっているし、考えないようにしている。ただ、ふっと頭に浮かぶときはある。

今月、大好きな同期の結婚式があって、東京に向かうことになった。東京に降り立った瞬間、思った。ああ、自由だと。
今ならどんな選択でもできる。すぐに帰ることもできる。ここにずっといることだって、できる。
知らない土地、知らない景色、だれもわたしのことを知らなくて、わたしは東京の隅っこにいた。

今の場所が嫌なわけではない。支えてくれる人がいて、あたたかい好きな部屋に住んでいて、休んでいることを責められるわけでない環境。もうすでに幸せじゃない、と言われれば間違いがない。
それでも、どこでもない場所に行きたかった。遠くに飛んでいきたかった。そうしたら、なにかを取り戻せる気がした。

一泊二日だけの予定が、ずるずると伸ばして、結局五日間も東京にいた。
予定をほとんど決めず、ふらっとカフェに入って、ホテルでぼんやりと眠って、その日暮らしで生きていた。
制限のない毎日をなんとなくで過ごして、自分で選ぶことなんて本当はたやすい、と思った。その気になれば、東京で、他の土地で、暮らすことも選べる。今の仕事をやめて、違う仕事をすることだって、選べる。
仕事を通じて大切な人がたくさんいたから、優先順位は自分よりその人たちのことだった。もちろん仕事は、生活の安定だとか、将来の安心だとか、そんなことのためでもあった。

非日常だからだと分かっている。現実逃避なのかもしれない。けれど、こんなに色鮮やかな刺激に満ちた日々は久しぶりだった。こんな感覚とっくに忘れていた。
そうだった、わたしはとても好奇心が強かった。自分が知らないことを知るのが好きだった。新しいことが好きだった。なにかを感じて、彩られていくことが好きだった。

先のことはわからない、一か月後二か月後、わたしはどうしているのか、なにかを決めているのか、ぜんぜん想像がつかない。
もう少しこんな時間が必要な気がしている。またすぐ旅に出ようと思う。東京なのか、他のどこかなのかは決めていない。
今は、背負っていたものをいったん降ろしてしまいたい。つくられた自分の価値や規範も一度落としてしまいたい。心が求めているほうへ、生きていきたい。

わたしは大丈夫だって知ってる もっと遠くに飛ぶよ もっと自由に飛ぶよ
わたしは大丈夫だって知ってる もっとあたらしく輝くよ

八星 LUCA+haruka nakamura


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