パルクールの動き

前回パルクールについて簡単に説明しましたが、今回はパルクールにおける動きについて説明していきたいと思います。

パルクールでは様々な動きがありますが、皆さんが最初に思い浮かべる動きは宙返りだったりすると思います。
ですが、本来のパルクールの動きは宙返りほど煌びやかではなく非常に地味なものになります。ではパルクールの動きについていくつか紹介、解説していきたいと思います。

受け身

パルクールはスポーツとして、唯一受け身を技術として有しているスポーツになります。自分の身体を守るためだったり、不意なアクシデントから逃れるために重要なものになります。

1.ロール

パルクールで宙返りのほかに思い浮かべる動きとしてこちらがあると思います。
このロールは高いところから前方向にジャンプし、地面に着地した瞬間に回転し落下速度、衝撃を受け流す動きになります。またロールを使えば、練度にもよりますが大体3階くらいの高さから落ちても怪我を負うことはありません。

2.ランディング

ランディングは受け身の技のひとつであり、ロールは前方向に勢いがついてる場合に使うものですが、このランディングは垂直落下している時に使う受け身になります。高いところから落下し着地した瞬間に足と手を着くのですが、ここで体重の乗せ方が大事になってきます。足には7割、手には3割ほどの割合で体重を乗せてあげないと、万が一手に対する割合が高すぎると耐えきれずそのまま地面に突っ込む可能性があるので注意し、膝は開くようにして着地してください。

3.サイドモンキー

こちらのサイドモンキーも受け身の一つで、元はモンキーウォークという動き(パルクールの超基礎的な動き)から派生しています。サイドモンキーはロールと同じく前方向に勢いが働いている時に使う受け身です。直立した状態から膝を潰さない程度に腰を起こし、出来るだけ自分の真横の遠い位置に手をつきます。そしてついた手よりも遠くに足を運び衝撃を受け流すようにします。

以上3つがパルクールにおける受け身になります。動画のリンクを貼っておくので参考にして練習してみてください。

ヴォルト

ヴォルトとはパルクールにおける動きの一つであり、障害物を乗り越える動きになります。

1.セーフティヴォルト

ヴォルトのなかで1番安全で簡単なヴォルトです。障害物に片足と片手をつき、その時に出来た隙間に地面に残っている足を通して地面につくのですが手と足のつく距離が近すぎるとやりにくいので比較的広くつくようにしてあげてください。最初のうちは障害物に手からついてしまうと思いますが、慣れてきたら足からつくようにしてください。

2.ワンハンドヴォルト

先ほど紹介したセーフティヴォルトの足をつかないバージョンになります。
障害物に手をつき両足でジャンプし、障害物を飛び越します。また、跳ぶ際に障害物からの距離が遠いと上手く飛び越す事が出来ませんが、逆に近すぎても膝を打ったりするのでちょうどいい距離を見つけてください。

3.ツーハンドヴォルト

こちらはワンハンドヴォルトの両手版になります。
このツーハンドヴォルトは障害物を縦にも横にも斜めにも飛び越す事が出来るので使い勝手がいいです。障害物に両手をつき飛び越すのですが、ここで大事なのがついた手より遠くに腰を持っていかない事が大事になります。腰を遠くに持っていくと腰の高さが低くなり上手く飛び越せず、障害物の上に乗ったり、膝を打ったり足が当たったりするで手と腰を近づけて跳ぶようにしてください。

4.スピードヴォルト

ワンハンドヴォルトを素早く行うバージョンになります。
最初は軽く勢いをつけてジャンプし手をついて乗り越え、慣れてきたら徐々に勢いを速くしてジャンプ、乗り越えをしてあげます。また、チュートリアル動画などでありがちな間違いとして、乗り越える時に身体を寝かせるようにする人もいますが、あれは間違いで本当は出来るだけ身体を立てた状態で乗り越えてあげますが、失敗したら膝をぶつけて膝が爆発する恐れがあるので十分注意してください。

5.レイジーヴォルト

上記4つのヴォルトは障害物を縦から飛び越しますが、このレイジーヴォルトは障害物を横に飛び越すものになります。
障害物の横に立って手をつき障害物に近い方の足を振り上げてジャンプし乗り越えるのですが、足を振り上げる際は膝蹴りをするようにして振り上げてください。そして、身体が障害物を越えたら余っている手をつき身体を送り出してあげます。

6.モンキーヴォルト

これが最後に紹介するヴォルトになります。
身近なものとて体育の跳び箱でやる閉脚跳びがあります。
障害物に手をつき、ジャンプして膝を抱え込みその状態で乗り越えるのですが、このヴォルトは膝をぶつけて爆発する可能性が最も高いヴォルトになります。
跳ぶ際の注意点としては障害物の近くから飛ばず、始めは障害物の上に乗り、慣れてきたら乗る位置を徐々に前にして最終的に乗り越えるようにします。また、跳ぶ際の上半身は立てずになるべく前に倒すようにします。

以上が基本的なヴォルトになります。このヴォルトはまだまだ種類があり、上記の解説も非常に端的に説明したものになるので、更に詳細を知りたい場合はYouTubeでチュートリアル動画を参考にしてください。

ジャンプ

パルクールにおけるジャンプは2種類しかありませんが、非常に奥が深いものになります。

1.プレシジョンジャンプ

通称"プレシ"。自分の立っている場所から狙った位置に正確にジャンプする技術になります。普通のジャンプとは違う点があり、それは腕を振る回数が違ってきます。普通のジャンプでは飛び出しで1回目、空中で腕を引き戻して2回目と計2回腕を振る形になりますがプレシでは3回腕を振り、1回目2回目までは普通のジャンプと同じですが着地する際に2回目で振り戻した腕をまた前に持っていき計3回振ることになります。また、着地の際の足も重要になり、足裏全体で着地せず母子球から先で着地する形になります。始めのうちは腕の振り方や跳びかた、着地の仕方などが非常に難しいのでまずはその場で飛んで全ての動きを反復練習して身体に覚え込ませるようにしてください。

2.ランニングプレシジョン

通称"ランプレ"。先ほど紹介したプレシの助走をつけてジャンプしたバージョンになりますが、やり方としてはプレシとさほど変わらず、静止した状態から跳ぶのか、走っている状態から跳ぶかの違いしかないため今回は解説を省きます。

上記2つの動きの解説も端的なものになるのでYouTube等でチュートリアル動画をご参考ください。

番外編

番外編ではパルクールにおいて特殊な側面を持つスキルに関して紹介したいと思います。

1.スティック

スティックとは正確に着地点にブレることなく止まるようにするスキルで、上記で紹介したプレシに深く関わってくるスキルになります。
ただ着地するだけではなく、膝をなるべく潰さないようにするため、また身体に対する衝撃を比較的緩和するためにこのスキルは存在します。日本における昨今のパルクールシーンでは、このスティックが割りと軽視されており(そもそもプレシをするトレーサーが少なくなった)実際の難しさの割に見た目が分かりにくく、しかも難しいためあまり広く伝播していません。このスティックに関してはまた別の記事で詳しく説明できたらなと思います。

2.バウンスバック

バウンスバックはプレシやランプレの着地において、飛距離や勢い、身体の高さなどが足りない場合着地点の"角"に足を上手く当てて、身体を守る技術になりこれも受け身のひとつと言えます。通常、飛距離が足りなく角に足を当てた場合(角が存在している障害物の高さにもよる)、そのまま跳ね返され背中から落ちてしまう場合がありますが、このバウンスバックはそういった危険な状況から抜け出すための技術で、プレシの上手さにもよりますが、角に足を当てた瞬間に、足首•膝•腰•背中で衝撃を吸収し、お尻から地面に落ちそのまま後転をする要領で後ろに転がってあげます。そうすると身体のダメージを最小限に抑える事が出来ます。

3.クレーン

クレーンは、プレシをした際に飛距離が足らずスティックができない時に行う、受け身とまではいきませんが"回避"といったスキルになります。
クレーンをする時に最も重要なことはしっかりと片足を障害物の上に乗せ、もう片足は障害物の壁に擦り付けるようにするということです。もし仮に上に乗せた片足だけで耐えられないとしても、そのままロールにつなげて受け身を取ることも可能になります。

最後に

今記事ではパルクールの動きを、受け身•ヴォルト•ジャンプの3つに分けて紹介、説明しました。実際、パルクールの動きは今回紹介したものの他にも更に多くの数があり、また中には多少危険性を孕んだ動きもあるので、初心者の方や始めたての方などはYouTubeのチュートリアル動画を見て練習したり、身近にいるトレーサーなどに聞くと喜んで教えてくれるので是非聞いて練習してみましょう。
ちなみにパルクールパークや体育館などの比較的安全な環境で練習するのも悪くありませんが、パルクールをするときは外で行い屋内などにある跳び箱と比べて柔らかくなく非常に硬いため非常に恐怖心を抱くかもしれません。仮に恐怖心を抱くことがなくても、実際にやったときに失敗して怪我をしたら、その時に負う精神的なダメージはとても大きくなります。なので、可能な限り外の環境に身を置き、少しづつ練習を重ねた方が怪我を負うリスクも最小限にする事が出来るため、是非外で練習しましょう。

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