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ワールド イズ ダンシング(2)

"男女の神がまぐわい この国は生まれたと言う そんな遥か昔から脈々と続いてきた人間の願い 生活 身体 感情 その流れの先端に猿楽と父が...私はこの身体で立っているのだ"2021年発刊の本書は世阿弥の瑞々しい少年期を歴史学者監修のもとに魅力的に描く室町ダンシングストーリー第2弾!

個人的に、前作が日本美術史好きとして非常に面白かったので。本書についても引き続き手にとりました。

さて、そんな本書は2巻目にして、いよいよ急展開!父の観阿弥の偉大さに気づき、向き合い。一方で【史実通りに】室町幕府の三代目将軍、足利義満と運命的に出会い、そして【少年漫画らしく】ライバルとして田楽に生きる少年、増次郎と、猿楽の威信をかけて対峙。とテンポよく物語が進んでいくのですが。。

まず、世阿弥の父にして猿楽の偉大なる改革者であるも特に前半性が謎に包まれており、世阿弥に較べるとイメージがつかみにくい観阿弥が、本書では猿楽に関しては師匠として世阿弥に対し厳しく育てるも【父親としては理想的に描かれていたり】また"一体どんな風に描かれるのだろうか?"と興味津々だった足利義満も【トリックスター的な二面性をもった人物に描かれており】新鮮な印象を受けました。

また、第一巻では白拍子の『死』が世阿弥少年に影響を与えますが、本書では対照的に『生(性)』として今度は"まぐわい"が描かれ、同じく大きな影響を与えるわけですが。もちろん卑猥ではなく、世阿弥が切り開く(であろう)舞の世界『能』のスケールの大きさを予感させるのが描写として巧みだと感じました。

能や日本の伝統文化、また広くダンス好きな方や歴史好きな方にオススメ。

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