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ただいま収蔵品整理中!

"本作は、筆者の郷土資料館での資料整理の経験を元に、執筆しています。物語はフィクションですが、作業内容自体は限りなく現実に近いです。"2021年発刊の本書は、あまり知られていない廃校利用の郷土資料館の裏側を舞台にした喜び、そして悲哀と恐怖の物語。

個人的には学芸員の友人もいることから、職場について。覗き見感覚で知ろうと手にとってみました。

さて、そんな本書は大学で考古学を専攻。現在は漫画家を志望するも【あまりうまくいっていない】細野勇が研究室仲間に誘われて【廃校を利用した郷土資料館】にてバイトを始めることになるのですが。

まず、資料整理、文化財害虫、金属保存、データベース、展示準備に収蔵庫と【最小限にメンテしかされていない限られた環境下】での学芸員の方々の細かい奮闘ぶりがフィクションとはいえ、道具紹介も含めてリアルに伝わってきて、こぼれ話や豆知識も含めて勉強になります。

また『異聞』という形で別に挿入されている【博物関係者が実際に体験した話】をベースに再構成された祠やお札、仏像といった信仰に関わる収蔵品にまつわる不可思議体験は、オカルト話というより。いわゆる"いわくつき"モノの寄贈も、一括で受け入れる立場上、やっぱり色々あるだろうな。と自然に思わされました。

学芸員を目指している人はもちろん、博物館によく訪れる人、職業物語が好きな人にオススメ。

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