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うえから京都

"一同が龍子を見つめた。『関西を強化して、中央の東京と話ができる力を持ちましょう。西側を統一するのが、京阪神。東を統一するのが東京。国をこの二大巨頭が支えるというのが私のご提案です』2022年発刊の本書は著者デビュー作にしてブラックユーモア溢れる政治エンタメ小説。

個人的には映画宣伝会社の女性による『60歳過ぎて初チャレンジが形に』という著者紹介記事に興味をもって本書を手にとりました。

さて、そんな本書は京都を国政の拠点として返り咲かせよう。そうもくろむ京都府知事の桂と長老たちの密談はから始まり、しかし、東に対抗するためとはいえ【京都から声をかけて京阪神の大阪、兵庫と手を組むのは難しい】と【政界の交渉人として名をはせる高知県職員】坂本龍子に調整役を依頼したことで物語は動き始めるのですが。

まあ、坂本龍馬と中岡慎太郎を調整役に徳川幕府を倒す目的で結んだ同盟関係『薩長同盟』を明らかに下敷きにしていることから【大まかな展開こそ目新しくはない】のですが。本書の帯に"小説世界と現実がリンクした?"と文化庁移転ロゴが使われているように【コロナ禍の現状、そして関西人の鉄板地元ネタを自然に反映させている】のがなかなか目新しく感じました。

また、本書での京阪神"連合"では【京都が拠点、大阪が経済活性、兵庫が都市づくり】を分散後の役割として合意するわけですが。個人的にも納得というか『可能性はゼロではない』といった興奮を覚えました。現実の政治家たちを見ると現実的ではなくも、閉塞感しかない現状【こんなワクワク話が裏で動いていたら良いな】と。

京都、大阪、兵庫に縁がある方はもちろん、気軽に読める政治エンタメ好きな方にもオススメ。

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