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映画監督という生き様

"冗談ではなく、映画監督は、タイタニック号の船長のようなものです。けれども、沈んでしまっては負けになる。これは絶対沈むというような船の船長にさせられても、ニューヨークに到着しないといけないのです。"2014年発刊の本書は、映画監督である著者が自らの半生を振り返った一冊。


個人的には撮影した自主制作映画の編集作業他の裏方作業に取り組む中、著者の撮影した『ヴァーサス』に刺激を受けたことを思い出し、励みにしようと手にとりました。


さて、そんな本書は実写映画版『ルパン三世』の公開に合わせて発刊されたもので。監督としての作品に対する意気込みを語った上で、ハリウッドというグローバルな才能が集まる舞台で自らが【どのようにして個性を発揮しながらキャリアを積み重ねてきたか】また、そこに挑むまでの日本での子供時代からの積み重ね。あるいは、ルパン三世と同じく、これまで手がけた『スカイハイ』や『あずみ』といった原作が別にある作品を撮影した時の裏話エピソードや、影響を受けた映画監督作品について。などが、終始映画愛溢れるも【戦闘的、闘い方、生き様】と、いかにもタフネスイメージの著者らしい言葉のセレクトで書かれているのですが。


まあ、率直に言って著者のファン。あるいはよほどの映画好きでないと手にとらない好みのわかれる本ではないかと思われますが。私のように『一人監督』として。脚本はもちろん、撮影場所や小道具、出演者の確保、編集及び映画祭への出展等といった【全てを独学で学んでいる立場】としては、大いに目線を高くさせられる刺激的な内容でした。

また、国内市場が縮小、ジリ貧化していく中で企業はもちろん。個人としても島国の中では必然的にどんどん貧しくなる中で、海外でキャリアを築いていく必要性が当たり前に高くなっている現在ですが。巨額の予算、大人数が関わるハリウッド作品の中で、どうやって【商業的成功と監督としての個性を両立させるか】についての葛藤については、やはり相当のプレッシャーがあることを知り、こちらも一映画ファンとして【作品の捉え方、鑑賞】の参考になりました。

著者ファンはもちろん、映画監督を目指す全ての人にオススメ。

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