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社会人短期留学記2 -簡単にリスキリングとか言わないで

6月に入って雨、雨、雨。
オタク界隈の友達相手にはあまり言ってこなかったが、実は6年くらい前からスワローズを応燕(応援)しているゆるっとした野球好きだ。東京ヤクルトスワローズ名物といえば(つば九郎以外!)得点時にミニ傘を高らかに掲げて「ヤートナ!ソレヨイヨイ!」と東京音頭に合わせて踊るファンによる圧巻のパフォーマンス。

どんなときもヤクルトファンは傘を持って球場に行く。そしてどんなときも選手を鼓舞するように傘を高く掲げる。選手がホームに帰ってきたときどこか誇らしい気持ちにすらなるときにイケイケドンドンな攻め曲ではなく、お祭りのリズムをマイペースに刻む音頭を合唱する、そんなファンの姿が好きで私は神宮球場に通っているのだ。

この傘というアイテムは不思議だ。
傘があれば自分は強くなれる、そんな気がするのだ。

2023年6月1日にヤクルトのサンタナ選手が大連敗中にあげた投稿に目が留まった。
It might be a stormy Now, but it Can't Rain Forever!
(たとえ今は嵐の中だとしても、永遠に続く雨はない!)

前回の記事では自分が今回のかなり無理をしてまで留学する理由を書いたが、さっきのサンタナ選手が上げた投稿と添えられた文を見て気づいた。

私は自分にとっての傘になるものを手に入れたいのだ。

リスキリングのハードル

リスキリングという言葉が流行っている。なんなら私が今回取ろうとしている行動もリスキリングだ。政府はリスキリングに膨大な金額をこれから投資という話が出ていたが、家庭を持たない30代独身ですらリスキリングに踏み出すには大きなハードルがあると感じている。私の場合、それはどちらかというと気持ちのハードルだった。

自分が再び勉強に踏み出すまで躊躇していた理由は大きく2つあった。
1)経済面 2)仕事を手放さないで続けること

経済面はそのまんま。リーマンショック世代なので就職難にあってしまい、いろいろあって私は正社員の道を選ばず、今はプロジェクトごとに契約する半分契約社員、半分フリーランスのような働き方をしている。これについては自分で選んだ道だし、後悔はないのだけれどいざ勉強しようと思いそろばんをはじき始めて気づいたのは経済的安定が確保されないということだった。月々生活は十分できるし、自分のためにお金を使うこともできているが、それが余裕があるかと言われたらNO。しかも一番ネックとなるのが就学中、自分の生計をどう立てるかである。会社に属していたら休職制度だったり活用できるものがあるのだろうけど、それがない。となると働きながら大学院という道になる。私はただただそれが不安なのだ。やっぱり安定は大事。逃げ腰になってるとか言い訳をしているとかではなく、勉強するためには安定が必要なのだ。自分が働いている業界の特徴なのかもしれないが、とにかく正社員以外にはいばらの道しかない。安定が見込めないと知った時に目の前に大きなハードルができてしまった。

二つ目はそもそも自分が仕事を手放したくないという点だ。これについては何でも欲しがるわがままだと言われても、そのとおりと飲み込むしかない。だけどこれがまぎれもない本音。何とかして仕事をしながら勉強をするという道を探っている。
そもそもなんでこんな考えになったのかというと、自分という人間の大きな軸を仕事においてしまった今、それを失うことへの恐怖心があるから。卑屈に聞こえるかもしれない。だけどこの年齢で1人でいるとどこかに自分の軸を作らないとやっていけないのだ。少なくとも私はそうかんじてしまうタイプだ。だから自分が自分であるために仕事と学問を両立させたいのだ。 

もうオンラインじゃ満足できない

今回学ぶ内容に出会ったキッカケはオンライン講義だった。本当に便利な世の中になった。日本にいながら、自分の意欲さえあれば世界各国の、なんなら自分の学力じゃ到底通うことなんて夢のまた夢のような学校の憧れの授業を受けることができるのだ。しかも無料で。

これまで積み重ねてきたオンラインの講義はすべて楽しくて、大満足だったし、上でつらつらと書いた経済面と仕事との両立というハードルをクリアさせてくれる最高のリスキリングじゃないかと言われそうだが、ここまで刺激された知的好奇心はもう歯止めが効かない。いつしかオンラインじゃ満足できなくなっていた。

リスキリングって簡単じゃないな、と今回のプロセスを経て実感した。
家庭がある人も、一人の人も、正社員も、非正規雇用も、ルーキーも、ベテランも。リスキリングって大きな決断だ。だから物理的な問題以上に自分の中の気持ちのハードルを越えなきゃいけない。だから私は内容は何であれ、勉強する人を心から応援したい。その人たちのために傘を掲げて「ヨイヨイヨイ!」と大声で歌いたい。

まずはここから

サマーカンファレンスに参加するという手法は自分が今取ることができる最大のステップだと今思っている。憧れとかじゃ語り切れない夢の学校で、オンラインや論文を読んで会ってみたいと思った教授に会える。そんな状況を叶えてくれるコースに出会えたのはラッキー。気持ちはやっとスタメン入りした選手ってところ。

私だっていつしか自分のなかの東京音頭を鳴らしたい。傘を掲げたい。
でも今は傘すら持たない身なので、まずはここからだ。


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