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謎の魔法使い

『猫を飼っても、寝室には絶対入れないから!私は動物には厳しいんだ!』

3か月前、Kちゃんが言っていたセリフである。
幼い頃から愛犬と暮らし、一時は動物関係の専門学校に通っていたという彼女。しつけには自信があるらしい。

・・・。いや、前言撤回。
彼女が長く暮らした愛犬のエピソードで登場する犬は主に2匹。武蔵と日向である。
片方は、田舎から届いた段ボールいっぱいの桃を全部一口づつ齧っていて激怒したという思い出。
もう片方の犬は、部屋の中にたい肥を、絨毯のように均一に広げており臭くてたまらない事件。『当時は写メとか出来なかったけど、見せたいくらいだよ。どうやってあんなにまんべなく部屋に敷き詰めたのか・・・。』

その他、ロールケーキ一本を瞬時に平らげる事件などなど色々あって、よく笑った。要するに厳しくしつけたところで同じようなものなのかも知れない。とも思ったが、多分、ワンちゃんたちは『何でも許してくれる』ということを知っていたのだろう。

そして今回、彼女にとっては人生初の猫との暮らし。
果たして厳しくしつけているのか?『寝室には入れないよ!』が初志貫徹されているのか?

全然やないかい。

この家に猫が入れない場所は皆無という現状。

『あともう一つ不思議なことがあるんだけど!衣替えして箱にしまいこんだ手袋とかを持って来れるのはなんで?猫って何?』

そうなんだよね。出勤して白衣に着替えようとリュックを開けると、いつの間にかブラジャーが入っていて慌てて隠したこともある。『これ、使うんだろ?』と思って入れてくれたのかも知れないが、問題はいつ引き出しから出して、いつリュックに入れたのだろう?という謎。
衣替えした服や手袋などもクローゼットのドアの向こう、さらには箱の中だというのに、もはや魔法使いとしか思えない。

叱るのか?と言えば、もちろん二人とも叱れない。

出来ることと言えば、その魔法が我々にとって良いことに使われることを祈るのみだ。

いや、違う。多分何もしなくても、何かやらかしてくれても、どちらでも良いのだろう。
ただそこに居てくれるだけで。

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