見出し画像

あなたのために

もう、ここのところ風が強くてまいる。
施設で仕事をしている時や自宅にいる時に聞こえて来る尋常じゃない音にも不安になるが、今日は歩いている時に飛ばされた。
飛ばされそうになったじゃなくて、本当に体がふわりと浮いて、この短い足の一歩が何と3メートルほどに及んだ。

まじか!と驚愕するものの、本当にピンチの時には声すら出ない。
しかも、普通なら何かに掴まろうと考えそうなものなのに、何故だか無性に腹を立てて、一歩一歩足に力を入れて進んでいたというアホなおばさんがここに居る。「負けるもんか!」
何に?

*****

家に帰ると、猫ばかり見ている。猫の方も人間ばかり見ている。

立ち上がってトイレへ行く時、料理をしに台所に行く時、風呂に入る時、もれなくついて来る。洗面所でドライヤーをかけている時や台所で洗い物をしている時などは、私の足の横、あるいは足の上で香箱を作りじっと待っている。
夢のように嬉しいことなのだが、いつもうっかり蹴飛ばしてしまうのではないか?と気が気でない。と、いうのも、いつの間にか横に居たことに気が付かなくて実際に足が当たったこともあるからだ。

そんな時のブランカと言ったら物凄い被害者面をして「にゃあああ!(何て酷いことを!)」と高い声をあげる。

だから!いつの間にか黙って足元に居るの止めて!と言っているのだが、こちらが気をつけるしかないのだろう。

と思っていた今日この頃、足元に来たらカプッ!と軽く足を噛んでお知らせして来るようになった。多分早々に言葉を理解しているらしい。

今日のような風の日に、kちゃんも私も施設で仕事をしている時、ブランカが1人で怖がっているんじゃないか?と毎日そんなことばかり考えている。

風が止みますように。
あなたのために。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?