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アニマとアニムス(夢に出てくる男と女)

リモートで小さな同窓会。おきまりの思い出話が出て「ごめんなー。」と謝られた。

その「ごめんな」は、当時から身体が小さかった私をいじめていた男子のセリフ。

でも、詫びていらしたのは、いじめていたこと自体ではなくて、「女らしくしろ、なんで女のくせにそうなんだ、おまえは!(怒)」がいじめの原因であったこと。

「ああいうふうに言われるのを一番嫌がってたよね。」

思わず「そー、そー、そーっ!分かってくれて嬉しいよ!」とマウスで彼の顔を連打クリック!「遅いけどな。」

でも、私も謝らなくては。

よく「男のくせに!」と言って突き飛ばしてましたもんね。子供でした!すみませんでした!←こっちの方がよっぽど酷い。

思えば、互いにジェンダーに基づく偏見で突き刺し合っていたのね。

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それで思い出したのだけど、心理の学生だった頃に、私のロールプレーを見ていた男性の先輩が、よく途中で「ストップ!ダメ、ダメ、ダメ!」と遮って止めていた。

何を怒られているのかサッパリ分からなかったのだけど、「もう少し自分が他人にどう見えてるか?というのを考えた方が良いよ。」とのことだった。「もっと大人しく!もっと優しく!あと、ニコッと笑って!ちゃんと、キャラ設定して。どう見られてるのか意識して!」とのことだった。

は?と思った。

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が、先輩がそういうんですからね。アドバイスは大切にしましょ。

という事で先輩がイメージする自分を被ってしばしの間ロールプレーをしたのだけど、途中で吐き気がして来た。

せっかく言ってくれている先輩の気持ちを無にしたくないと努力はしたが、結果的に”クライアント対カウンセラーは、一人の人間と一人の人間。初っ端から自分でない態度で接するのは、初っ端から嘘ついてるようなもんだ”という結論に達した。

しばし議論していて、なるほど!と思ったのは、その先輩の「こうあって欲しい私」を押し付けられていたということ。

”立派な先輩だ。でも、人間なので、古い類型論に嵌ったまま気が付かないこともあるんだなあ。”ということに気が付いたのだった。もの凄く不自由だ。

果たして、こんなことを感じる私はただのひねくれものだったのか?

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結果から言うと、臨床に出てからは、この持論で行って正解だった。逆にその先輩のキャラ設定しろ!というアドバイスに忠実だった生徒さんたちの実績は全く言って良いほどあがらなかった。だって、そもそもが”嘘”なのだから。

クライアントさんは”自分の話”をしてくれているのだから、カウンセラーも自分でいた方が良い。

類型論に話が戻るけれど、人は本当に類型するのが好きだ。

男、女、トランジェンダー、血液型は何か?既婚か?未婚か?子供はいるか、いないか?職業は何か?明るい人か?暗い人か?年代は?何歳くらい?

元々は共通点を見つけて共感し合いたいからこそ生じる質問や興味なのかも知れない。

それがいつの間にか、類型論からはみ出すもの、あるいはいくつかの類型論を跨いでいるようなもの、一番嫌がられるのが、自分が知っているどの類型論にも当てはまらないもの。そんな存在がいると、不安や恐怖すら感じるまでに至る。そして、その不安や恐怖は様々な形、様々なレベルの攻撃に変わる。

小さな同窓会リモートバージョンで、そんな雑談をしていたら、昔は心理学なんて全く興味がなかった人が食いついて来て、色々質問してくれたので、思いの他、盛り上がった。人は変わるのだなあと思った瞬間でもあったが、今は、その理由が分かる。

いつぞや、ここに”グレートマザー”という母親像の元型のお話を書いたけれど、”人の心の中の男と女”にも元型が存在する。

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男性の中にある女性像(男性の女性的な部分)をアニマといい、反対に、女性の中にある男性像(女性の中にある男性的な部分)をアニムスと言う。

それは、それぞれ、その人にとっての理想の女性像、男性像とも言えて、男女どちらの心の中にも両方が存在する。

そして我らの心の中のアニマとアニムスは、その人の成長と共に姿を変えていくというのがユングさんが唱えたことだった。

時を経て、私たちの心の中に居るアニマとアニムスが成長した。そして私たちの中のアニマとアニムスが和解した。それは私たちが成長したからだと思う。

では、果たして、個人の心の成長と同じスピードで成長していくアニマとアニムスは、最後、どうなるのか?

ユングさん曰く、統合して一体化するらしい。

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・・・・・・・・・・・。← 想像中

うう、そこまでは行きたくない。よく分からないけど、何となく。

所詮私も、自分の中の狭い類型論に無いものをイメージするのは気持ちが悪いらしい。

だから、ありのまま、今を生きるが一番だ。

Zoomに並ぶ面々の今夜のありのまま。互いに影を取り払ってこそ笑い合える。

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