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言葉がわからないから出来るショー

『Words Begger』というショーを去年カルガリーで作った。

そんな言葉はないのだが、直訳すると「言葉を乞う人」
言葉を知らないクラウン・ShonShonが、お客さんから言葉を教わり、その言葉を使って即興でシーンを作ったり、お客さんと遊んだりする。
国際的に活動するにあたり、世界のどこでも出来るフォーマットを作りたかったのだが、カルガリー滞在中に突然アイデアが降ってきた。

昨日、遂にそのフォーマットを全く知らない言語を使って上演した。
過去の上演はどれも英語。英語は演じてる本人(忍翔)がわかるので、何となく意味は推測出来る。
だが、今回は完全にわからない言語、そしてお客さんもネパール語以外わからない。
僕にとって大きな挑戦でもあった。

ブペンドラ(今回のフェスを主催してくれたら現地のインプロバイザー)に通訳をしてもらいながら、ショーの説明をする。
インプロも、クラウンも、初めて見る人達だ。でも皆暖かい視線で見守ってくれていた。
「このショーは、僕(忍翔)が演じるのではなく、僕の友人のShonShonが演じます」とメタ的な説明をした後、赤鼻と帽子を被り、満を持して登場した。

最初は僕が話せる唯一の言葉「ShonShon」を繰り返すだけだったが、お客さんがなんとなく発した言葉を繰り返していくと、次第にショーの内容が伝わっていった。
少しずつ「Hello」とか「Mobile phone」と言った簡単な言葉をかけてくれて、段々と知らないネパール語も増えていった。「ナダナダ」とか…あーいっぱい言ってもらったはずなのだが、ぶっちゃけ全然覚えてない(笑)本当の意味も未だにわからない(笑)

でもわからないことをひっくるめて、お客さんは楽しんでくれていて、どんどん笑いも増えていった。
単純に外国人が自国の言葉を繰り返してるだけで面白いし、それを楽しんでる僕を愛してくれてるようにも見えた。
そこからお客さんに絡んだり、舞台にあげたりしていったら、段々と皆が積極的になり始めた。
長い布を電話線に見立てていたら、お客さんの1人のマダムがそれを持って応答してくれたり、別の布と繋いで長くしてくれたりと、お客さんと一緒にストーリーがどんどん作られていった。
20分程度のパフォーマンスだったが、大盛況で幕を閉じた。

言葉の意味はほとんどわからない(「鶏」と「布」と「銃」と「大きい」はわかったが、もう発音を忘れてしまった…)が、それでも人は繋がれるのだということを、このショーを通して実感出来たし、確信を持ったと言ってもいい。
むしろ、言葉がわからないからこそ出来たショーな気がする。言葉が不要だとは言わないが、なくても出来るし、ない方が出来ることもあるのだ。

終わった後、一緒にフェスに参加してくれてるインプロバイザーに「世界で通用する!」「いろんな国でやってほしい!」と言われた。
もちろん兼ねてよりそのつもりではあったが、今回の体験は大きな一歩となった。

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