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【目指せソムリエ#38】ワインの品質向上が目覚ましい、日本!

はじめに

プレソムリエの皆さん、こんばんは!今回はつ・い・に!日本です!!世界中に素晴らしい産地はたくさんありますが、やはり日本人としては日本ワインを応援していきたいですよね!

昔は「日本のワインは薄くて美味しくない」なんていうネガティブなイメージもありましたが、今の日本ワインは国内外でクオリティの高さが評価される素晴らしいワインがたくさん生み出されています。まさに、今大注目の産地でもあるのです。

私も全国のワイナリーに遠征するのが大好きです♡
中にはワイナリーの中に泊まれるホテルもあって最高!目が覚めてカーテンを開けたらブドウ畑が広がっているの、素敵すぎません?日本で体験できちゃうんですよー!

日本ワインについては「日本ワインの概要」と「日本ワインの各産地」について2回にわけて解説していきたいと思います。


日本の概要

日本では、北は北海道から南は沖縄までほとんどの都道府県でワインが造られています。ワイン用ブドウ栽培地の北限である北海道名寄(北緯44.1度)と、南限である沖縄県恩納村(北緯26.3度)の緯度差は約18度です!フランスの北限と南限の緯度差は約6度なので、比べてみるとどれだけ広域かがわかりますね。

国税庁により2015年に「日本ワインとは、国産ブドウを原料とした果実酒である」と法的に定義されました。

海外からの輸入果汁やバルクワインを用いて国内で瓶詰めされたワインと日本ワインは区別されており、国内市場でのワイン流通量構成比では日本ワインは全体の5.4%と推計されています。

最近では日本国内でワイナリーを設立する醸造家が急速に増えており、国税庁のデータでは、現在のワイナリー数は413軒に達しています!

この数字は「日本ワイン」を生産していない醸造場も含み、国税庁の調査に回答したワイナリーのうち、「日本ワイン」を生産しているワイナリー数は278軒となっています。今の所ワイナリー数は山梨県が群を抜いて多いですが、近年は北海道と長野県で急増しています!

100%自社の管理畑のブドウでワインを造る「ドメーヌ型」ワイナリーも増加傾向にあります。2000年以降設立のワイナリーでは、年間生産量が100kℓ未満の小規模ワイナリーは9割を超え、依然増加傾向にあります。

日本ワインの歴史

〜日本ワインのはじまり〜

今まで、ワイン造りの始まりは、今から約140年前の明治初期に始まったと伝えられてきました。

1874年、山田宥教ゆうきょうと|詫間憲久たくまのりひさ》の2人が甲府にて初めて本格的ワイン造りを始め、1877年には、今の勝沼に当たる祝村に初めての民間のワイナリー「大山梨葡萄酒会社(通称 祝村葡萄酒醸造会社)」が立ち上げられ、続いて、山形県や新潟県、さらに大正時代には大阪府でもワイナリーが誕生しました。

ところが!!2018年に新たな見解が発表され、小倉藩奉行所の日次記録には、1627~30年までの4年間、小倉藩細川家の管轄下において葡萄酒造りが実施されていたことが記されていたそうです。同センターではこの葡萄酒がワインであるとしており・・これが事実だとすると、初の本格的なワインは1627年には、福岡県において造られていたことになります!ソムリエ教本のデータも改訂されました。

1893年には、新潟県でワイナリー「岩の原葡萄園」が川上善兵衛によって設立されました。

©︎岩の原葡萄園

川上氏は日本の風土に適したワインの原料となるブドウを求めて研究を続け、1922年22品種を優良品種として発表しました。5年後には、マスカット・べーリーAブラック・クイーンなどの日本独自の改良品種が新潟県で開発されました。

山梨県のワイナリーは39年にはその数がなんと3,694軒にも達したのですが、悲しいことに、ワイナリーの数自体は、戦争中に著しく減少してしまいました。。

戦後は甘味果実酒が人気となりました。赤玉ポートワインが有名ですよね!(最近はポートワインを名乗れないためか、赤玉スイートワインになっている模様・・)

©︎サントリー

〜日本ワインの広がり〜

60年代から80年代には、東京オリンピック、大阪万博が開催、経済の高度成長を追い風に、日本ワインの生産と消費が拡大しはじめました。
60年代、70年代には各地で村興しや地域振興を目的とした第3セクター、JA、地方自治体のワイナリーの設立が活発化し、1973年は「ワイン元年」と称されます。1973年はフランスではムートン・ロッチルドが格付け1級に昇格し、南アフリカでは原産地呼称制度WOが制定された年でもありますね!

〜品質の向上する日本ワイン〜

80年代頃には、日本でも欧・中東系品種であるシャルドネメルロなどの中近東を原産とするヴィティス・ヴィニフェラ種の本格的な栽培が始まりました。

2000年を過ぎるとワイナリーの設立が活発化して、設立数は約200軒にも達しました!ワイナリーの多くは生産量が10万本以下の小規模ワイナリーで、異業種からの参入される個人の方も多くみられます(元金融業界の方やIT業界など・・皆さん様々です)。地方自治体が関与したワイナリー設立も目立ちます。

この十数年でテロワールを表現した日本ワインが増加しており、著しく品質も向上しています!近年の特徴として都市型ワイナリー(アーバンワイナリー)の増加が注目されています。2013年に大阪市中央区という街中にワイナリーが誕生しました。

現在は東京、大阪、小樽、金沢などで営業しており、全国の都市部で増加傾向にあります。

渋谷のど真ん中にも!ふらっと立ち寄れるのが嬉しい♪

日本のブドウ品種

日本ではヴィニフェラに加え、アメリカ系品種甲州などの東洋系品種野生ブドウ、これらの交雑・交配種と、ワイン原料に様々なブドウが用いられています。

ワイン生産が始まった当初、日本の気候ではヴィニフェラ種の栽培が困難であったため、日本固有の品種である甲州からワインが造られました。その後、ヨーロッパとは異なる気候に適応する品種を求めて、マスカット・ベーリーAなど交雑・交配品種の開発が盛んに行われました。

近年、日本ワインが海外に輸出され始め、2010年には甲州が、2013年にはマスカット・ベーリーAO.I.V(.国際ブドウ・ブドウ酒機構)のリストに掲載されました!2020年山幸(やまさち)も追加されています。これによって、EUへの輸出時に、品種名 をラベル表示可能になります。

日本で使用されるブドウの生産数量順位は下記の図の通りです。

日本のワイン法

2015年10月、国税庁が「果実酒等の製法品質表示基準」を制定し、「日本ワイン」の定義を明確にするとともに様々なラベル表示ルールを定め、「酒類の地理的表示に関する表示基準」の全面改正を実施しました。

果実酒等の製法品質表示基準

果実酒等の製法品質表示基準は2018年10月末に施行されました。

「日本ワイン」  「国内製造ワイン」「輸入ワイン」  は全く異なるものとして、それぞれ明確に定義されています。

©︎国税庁

「日本ワイン」の場合は、表ラベルには「日本ワイン」の表示が任意で可能(地名、品種名、収穫年も表示可能) です。裏ラベル には「日本ワイン」の表示義務あり、絶対に表示しなければなりません!

さらに、産地名の表示に関しては、「日本ワイン」に限り、条件によって産地名を表示する事が可能です。

「国内製造ワイン」は、原材料の産地名としてブドウの収穫地の表示が可能です。山梨県のブドウを使っていても、山梨県で醸造していなければ「山梨ワイン」とは名乗れないという事ですね!

©︎国税庁

また、ブドウ品種名の表示に関しても
表ラベル には「国内製造ワイン」「日本ワイン」の原料ブドウ品種は、次の下記の場合、表示可能です。

①単一品種名:単一品種を85%以上使用している場合
(甲州で作ったワインに15%デラウェアがブレンドされていても「甲州ワインを名乗ってもいいよ!」という事ですね。)

②2つの品種名:2品種の合計で85%以上使用し、かつ使用量の多い順に表示する場合

③3品種以上の品種名:3品種以上の合計で85%以上使用しており、それぞれの使用量の割合を併記し、かつ使用量の多い順に表示する場合

また、裏ラベル には「日本ワイン」に限り表示可能ですが、「国内製造ワイン」は表示する事が出来ません。

ブドウ収穫年表示は表ラベル に「日本ワイン」に限り、同一収穫年のブドウを85%以上原料としている場合、表示が可能です 。「国内製造ワイン」は表示する事が出来ません。

「国内製造ワイン」のうち濃縮果汁または輸入ワインを原料としたワインは、表ラベルにも裏ラベル(一括表示欄)にも、その旨の表示する義務があります。

裏ラベル(一括表示欄)に記載する原材料名は、①果実、②濃縮果汁、③輸入ワイン、④国内製造ワインを、使用量の多い順に表示(④の「国内製造ワイン」とは、①〜③を原料としたもの)です。

©︎国税庁
©︎国税庁
©︎国税庁


酒類の地理的表示に関する表示基準

国税庁によって1994年から運用されてきた「地理的表示に関する表示基準」 が2015年10月に全面改正されました。

それまでは焼酎のいくつかの産地、日本酒の「白山」、ワインの「山梨」が指定を受けてきましたが、 日本産酒類のブランド価値向上と輸出促進を目的に、指定基準の明確化、消費者に分かりやすい統一的な 表示のルール化などが新基準として定められました。

「地理的表示制度(G.I.)」とは

商品の確立した品質や社会的評価がその商品の産地と本質的な繫がりがある場合に、その産地名を独占的に名乗ることができる制度です。

その産地のワインが、生産された土地に起因するような品質特性を備えて一定期間製造されており、その特性を維持するための管理が行われている場合にのみ「地理的表示(GI)」の指定を受けることができます。

EUで例えると、I.G.P.、A.O.P.のカテゴリーのワインが「地理的表示」付きワインです。

「地理的表示」の指定を受ける要件は、産地に主として帰せられる酒類の特性が明確であることと、特性を維持されるための管理が行われていることとされています。

この2つの要件が認められるときに、生産基準、名称、産地の範囲、酒類区分を「地理的表示(GI)」として指定することができます。

ワインは「山梨」「北海道」「山形」「長野」「大阪」が「地理的表示(GI)」に指定されています。

日本の仕立て法

棚仕立て

温暖で高湿度という日本の気候条件のもと、主に生食用(アメリカ系品種)を育てることを目的に、江戸時代 から日本中で採用され続けてきた仕立て法です。
長梢仕立て(5~15芽を残して長く切る)短梢仕立て(2~4芽を残して短く切る)があります。
日本固有の甲州マスカット・ベーリーAは、この仕立てで栽培されることが多いです。

垣根仕立て

垣根仕立てのブドウ畑は増加傾向にあり、全体の3割程を占めるまでになりました。主にシャルドネやメルローなど、国際品種で用いられます。

X字型剪定

X字型剪定は長梢に剪定したものです。日本の伝統的な仕立て法で「X」という文字を意識しながら、樹を仕立てて形づくっていきます。
剪定が少しややこしいので熟練が必要であり成木になるまでも時間がかかりますが、枝の配置の自由度が高く、樹勢をコントロールしやすいという利点があるそうです。

一文字型短梢剪定

一文字型短梢剪定は棚仕立てで短梢に剪定したものです。水平方向に一文字に太い枝を配置します。
新梢や房の管理作業が直線的になり、作業効率が高い事や、密植も可能である事が利点です。
国内で採用する栽培家が増加中で、シャルドネやメルロにも採用されています。

©︎GRAPEVINE

H字型短梢剪定

H字型短梢剪定は棚仕立てで短梢に剪定したものです。水平方向に左右に2列、H字の形に枝を配置します。
一文字短梢同様に管理作業がシンプルで、作業効率が高いのが利点です。
九州で1990年代以降に拓かれたブドウ畑で採用されており、上に雨よけをしているケースが多いです。

©︎minorasu

スマートマイヨーガー仕立て

スマートマイヨーガー仕立てはH字型短梢剪定の変形で、新梢を片側一方向にのみ伸ばします。長野県塩尻市ではこの仕立てを応用した改良スマート仕立ての導入が進みつつあるそうです。

©︎城戸ワイナリー

おわりに

今日も学習お疲れ様です!

ようやく主要国の最後まで辿り着きました。このnoteも次回の日本で一旦締めくくろうかと思います。

プルールでは今、日本ワインに特に力を入れています!今、日本ワインが本当に面白いんです・・!

オンラインショップにはほんの一部のみの掲載なので、ワインをご希望の方はお気軽にこちらまでご相談ください☆
また、よく見直しをしているつもりなのですが、noteの間違いに気がついた方はこっそり教えて頂けるととても助かりますm(_ _)m

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